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月の雫

第8章 おかえりといらっしゃい


薬研を見ていて思ったのだけど…
もしかして、みんなも甘えたいとか思っているのかな?
執務室は開放しているけど、他の刀剣に遠慮して来れない方がいるのかも。

かと言って“甘えたい?”なーんて聞いても、そういう方だったら素直に頷くわけもなく。

そうだなー。
討伐・遠征・内番のバランスを考えて、来やすいようにしてみようか。
人数が増えたから、手が空く日も出来るだろう。

よし、考えてみるか。

三日月「休みの日には休むものだそ?月胡。」

『宗近。どうしたの?』

三日月「執務室にみなが出入りしていたから、様子を見に来たんだ。」

『ごめん…思いついたらやりたくなっちゃって。』

三日月「ならば、俺と“デエト”せぬか?」

『んん?』

三日月「共に出かけようぞ。」

『でかけるって、どこへ?』

三日月「まぁ、着いてこい。」

『ちょっ、宗近!?』

と、宗近に手を繋がれてやって来たのは…

『甘味処だ。』

三日月「ここの甘味は絶品でな。
月胡を連れて来たかった。」

『誰と来たの?』

三日月「翁の遣いで来た事があってな。
でも、店で食べるのは初めてだ。」

宗近がお使いっ!
レアだ…
さすが、翁だなぁ。

三日月「好きな物を頼め。
俺の奢りだ。」

『いいのに…。』

三日月「たまには格好つけさせてくれ。」

『じゃ、ご馳走になります。』

三日月「うむ。」

ここは、素直に奢ってもらおう。
頼んだのは、オススメのクリームあんみつ。
宗近も同じ物を頼み、抹茶も付けてくれた。

『美味しい…。』

三日月「だろ?」

『連れて来てくれて、ありがとう。』

三日月「なに、俺も鶴丸達が羨ましかったんでな。
二人で出かけてみたかった。」

…そうか。
これが宗近なりの甘えなんだ。
やっぱり、寂しく思う時があるんだね。

『また、美味しいお店を見つけたら一緒に来よう。』

三日月「あぁ。」

笑ってくれてる。
心からの笑顔に、ホッとした。

やはり、一人一人と過ごす時間を設けよう。

でも、今は…

宗近だけに。
宗近も、私だけの。

そう言う事か。
独り占めできるのって、優越感だ。
宗近はいろんな事を教えてくれるね。

好きだな…
この、大きな包容力。

ずっと包まれていたくなるな…



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