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月の雫

第6章 日常


寝る準備まで済ませ、太郎の御守りづくりを始める。
水晶玉が入る大きさの巾着を作り、名前を刺繍してみた。
紐は長めにして、好きな所に結べるように。
あとは、水晶玉に祈りを込める。

ー納得のいく修行ができますようにー
ー怪我なく帰ってきますようにー

私の祈りが、水晶玉に吸い込まれていく。

『これで、良し。』

まだ、時間にも体力にも余裕があるな。
何個か作ろうかな。

…それが、いけなかった。

『あれ?』

外が薄明るい。
夜が明けているじゃないか。

『やっちゃったよ…。』

石切丸の祈祷が始まるな。
装束に着替えて、祓い殿へ行くと太郎と次郎も来ていた。

『おはよう。
今日は二人も一緒なんだね。』

太郎「はい。
出発の前に、と思いまして。』

次郎「あたしも、たまにはね。」

石切丸「では、太郎の無事を祈願しようか。」

『お願いします。』

いつもより丁寧な石切丸の祈祷が終わり、そのまま4人で朝食を摂った。
早い時間なのに、食べ終わる頃には全員そろっていて。
結局みんなで太郎を見送る事になった。

太郎「では、主。」

『これ、持って行って。』

太郎「これは…」

『御守り。
手作りだから不恰好だけど。』

太郎「…ありがとうございます、主。」

渡した御守りを首から下げると、ギュッと私を抱き締めた。

太郎「本当に…ありがとうございます。
こんな、思いの籠った御守りを…』

『必ず、無事に帰ってきてね。』

太郎「はい。
…では、行って参ります。」

太郎が門をくぐってゆく。
どんどん小さくなる背中に、頑張れ!と気持ちを送り続けた。

三日月「行ったな。」

『うん。
さぁ、私も仕事を始めようかな。』

太郎に恥ずかしくないように。

…と、気合を入れたはいいが。
徹夜だったから、眠い。
瞼が重いよ…

今日の仕事はデスクワークばかりで、文字が全て眠りの呪文のようだ。
コーヒー、飲もうかな。

『コーヒー、淹れてくる。
宗近も飲む?』

三日月「もらおうか。」

『はーい。』

執務室にコーヒーメーカーを置いてあるから、豆を挽いてセットする。
出来るまで、ストレッチしよう。

身体を動かせば、眠気は覚める。
午後は鍛錬場に行って来ようかな。

『はい、どうぞ。』

三日月「ありがとう。」

はぁ。
コーヒー飲んで少し、スッキリした。



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