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月の雫

第5章 色々あります


三日月「月胡、そこに座れ。」

執務室に戻ると、宗近がにこやかに手招きした。

…忘れてた。
説明するって言っちゃったよね、私。
うわー、みんなも残ってる。
そして、宗近と同じくにこやかだぁ…

三日月「どうした、月胡?
早く座れ。」

『はい。』

ダメだ。
逃げられないヤツだ、コレは。

髭切「さっ、説明してもらおうかな。」

『え?
だから、翡翠は私の担当で…。」

膝丸「それは、分かった。
俺たちが聞きたいのは…」

髭切「アイツが初めての相手なの?」

『Σ髭切!オブラート!!
薬研が居るんだからっ!!』

薬研「大丈夫だ、大将。
短刀だが、その辺に理解はある。」

いやいやいや…そういう事じゃなくて…

うぅ…
みんながじーっと見てる。
話すしかないのかなぁ。

『…確かに、初めての人だよ。
審神者としての訓練の一つでね。
知らなければ、対応出来ない。
女だから、簡単に襲われてしまう事もある。
そして、審神者に選ばれた時点で、いわゆる“女の普通の幸せ”は諦めた。
諦めなければならなかった。
それに、みんなも知ってるよね?
力を受け渡すのに最も適している行為を。』

そう、身体を重ねる事。
直接のやり取りが最も効果がある。

『その時に“知りません““出来ません”なんて、言ってられないでしょ。
だから…』

石切丸「もう、いいよ。」

目の前が暗くなった。
あぁ、石切丸に抱きしめられたのだと香りで気がついた。

石切丸「すまないね、泣かせるつもりは無かったのに。」

『えっ?』

泣いてる?誰が??

髭切「おや?気づいてないの?」

膝丸「頭では納得していても、心がついてきてなかったんだろう。」

『あっ…。』

涙が溢れていた。
自分では何でもないと思っていたのに。

『気付かせないでよー。』

膝丸「すっ、すまない。」

今度は膝丸が抱き締めてくれた。

『私にはこれしかないんだよ…
逃げられない。
逃げる気もないけど。
それでも、苦しかった…。』

髭切「いい子、いい子。
月胡、がんばったんだね。」

『いい子じゃないよ…。』

三日月「俺には充分、いい子だぞ。
可愛い子だ。」

薬研「俺も、ちゃんと認めてる。
大丈夫だ、大将。」

石切丸「全部、吐き出してしまおうか。
また、明日から笑えるように。」



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