• テキストサイズ

月の雫

第38章 契りー膝丸ー※


ー月胡ー

膝丸は、真っ直ぐだ。
立ち姿も、性格も。

…私へと向けられる愛情も。

そんな彼に私は何度も救われた。
ここへ来る前、刀の彼にも救われていた。
運命?縁?
言葉は何でも良い。
きっと、何があっても膝丸とは出会っていたんだから。

『膝丸、入ってもいい?』

膝丸「あぁ、構わない。」

夜に彼の私室を訪ねるのは、初めての事。
緊張するな…
障子の前で緊張していると、中の気配が動き…

膝丸「どうした?入らないのか?」

と、膝丸が開けた。

『お邪魔します。』

彼らしい、無駄のない部屋。
しかし、昼に訪ねた時と違うのは布団が敷かれている所。
それも、きっちりと。
それを見て、ふっと身体の力が抜けた。
やはり、どこまでも私の好きな膝丸だ。

膝丸「座らぬのか?」

自分の隣に座布団を出してくれた。
そこへ…
膝丸の隣に行く前に、伝えなくては。

『…膝丸。』

膝丸「ん?」

『貴方のことが、好きです。』

膝丸「月胡…。」

膝丸はすっと立ち上がり、私の前へ立つ。

膝丸「それは…俺で良いと言う事なのか?」

『膝丸が、いい。
膝丸じゃなければ、嫌…。』

膝丸「…ありがとう。」

そっと、優しく包み込まれる。
やっと…同じ想いで触れ合えるんだ。

膝丸「こちらへ。」

腕を解かれたけれど、代わりにしっかりと手を繋がれて布団へと導かれた。
真ん中に向かい合わせで座ると、繋いでいない方の手が頬に触れ…
親指が唇をなぞり、少しだけ上を向かせると

『んっ…。』

膝丸の唇が私のを食み、ゆっくりと重ねられた。

こんなに気持ちを込めて口づけされたのは、初めてだ…
優しく、深く。
“こんなにも愛しているんだぞ”と、言葉以上に伝わる。
長い口づけが終わると、贈り物の包みを解くようにそっと私の装束を解き始めた。
私も膝丸の帯に触れ、丁寧に解いていく。
お互い、宝物に触れるように。
そっと、少しずつ。
寝衣を肩から滑らせる時に指が触れた所が熱い。
彼の熱が、指先から私を溶かすようだ。

2人を隔てる物を全て取り払うとまた、優しく包まれた。

膝丸「…愛している。」

耳元で低く囁かれただけで、身体の奥が熱くなる。
触れた肌だけでなく、内側からも溶かされてしまう。



/ 274ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp