第38章 契りー膝丸ー※
完全に溶かされてしまう前に…
伝えなくては。
『膝丸。』
「ん?」
『私の真名を…貴方に。』
「月胡…それは、」
『お願い。』
真っ直ぐに膝丸を見つめると、彼も姿勢を正して向き合ってくれた。
『佐具羅 蒼月…です。』
「佐具羅 蒼月…。」
カチリ、と胸の奥で何かがピタリとはまるような感覚が。
そして、じわ…と温かいものが全身に広がる。
「…確かに受け取った。
良い名だな、蒼月。」
心臓の辺りを触れながら愛おしそうに言う膝丸。
その姿が幸せそうで、思わず抱きしめてしまった。
『私の…膝丸。』
「…そうだ、蒼月の俺だ。
そして、俺だけの蒼月。
月胡は皆のだが、蒼月は俺だけのだ。」
『うん…うん、膝丸…。』
きつく抱きしめ返され、そのままそっと布団へと寝かされた。
後頭部を大きな手で包み込み、少しも痛みを与えぬようにとしてくれているのが伝わる。
「蒼月の全てを、貰い受けるぞ。」
『はい…。』
琥珀色の瞳に熱が孕む。
触れるだけの口づけから、深いものへと変わっていく。
指を絡めたり、頬から首筋を撫でられたり。
『んっ……はぁ…っ。』
吐息さえも逃さぬように…
全てが膝丸へと奪われていく。
「…柔い、な。」
『膝丸…は、硬い…ね。』
「そうか?」
『硬くて…熱い。』
すごくドキドキしているのに、冷静だった。
膝丸もそうみたいで、私の形を一つ一つ確かめるかのように丁寧に触れている。
唇を。
頭を。
首筋を。
鎖骨を。
指と唇でなぞる。
なんだか、初めて自分の形というものを理解できている気がする。
膝丸に触れられて、形成されているようだ。
『私…ここに居るんだね。』
「そうだ。
蒼月は俺の元にいるんだ。」
ーそして、俺は蒼月のナカに。
『ー!!!』
一気に膝丸自身が私のナカへと入って来た。
お互いを確かめるような触れ合いで、私はすでに受け入れられる状態になっていたのか。
何の抵抗もなく、一番深いところまで受け入れていた。
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