第4章 様々な関わり方
ー三日月宗近ー
昨日顕現された髭切・膝丸の内側から月胡の力を感じた。
“核”とでも言うのだろうか、中心から。
月胡が力を込めて顕現したのだから、当然と言えばそうなのだが。
…それが、無性に羨ましかった。
自分は月胡の刀剣なのだと、繋がりが強いのだと、あの二人に見せつけられて居るようで。
俺だって、今は月胡の刀剣だ。
心からそう思っているが、思うだけでなく彼奴らのように確固たる証が欲しくなった。
そんな欲から月胡を抱き締め、俺の力を流し込んだ。
月胡に俺の印をつけたくて。
…もっと効果的な方法もあるが。
今はまだ、これだけにしておこう。
そして、月胡にも俺に力を与えてもらった。
包み込むようにしてくれたが、俺は自ら中へと取り込む。
出来るだけ中心に、奥深くに。
誰にも気付かれぬよう、しまい込んだ。
「休日はどのようにして過ごしていたんだ?」
『…実は、ここ最近なの。
自由に過ごせるようになったのって。』
「何故?」
『政府の所有物だから。
裏切らぬように、良からぬ思考を抱かぬように。
でも、翁が見受け保証人?みたいなのになってくれてから自由になったんだ。
それだけ翁は政府からの信頼が厚かったって事だよねー。
あ、もちろん味方もいたからこっそり色々と教えてくれたよ?
偏った考えの方が、危ないよね?普通。』
なんて事ないように話すが、かなり辛いものであったろうに…
年頃の娘が自由に過ごせぬなど、苦痛でしかない。
『翁が教えてくれた。
何も言わせないくらい、強くなれって。
力だけじゃなく、ね。
だから、武器になるものはなんでも身につけた。
だから、ここに来れた。
今は自由だよ。
…何か言われたら潰せるくらいの力は持ったから。』
…最後がサラッと怖いが。
そんな状況なら人を恨み、闇堕ちしてもおかしくはないのにそうならなかったのは、月胡の生まれ持った資質なんだろう。
素直で悲観せず、前を向いて歩める。
「ならば、これからはうんと好きな事をせねばな。」
『うん!
宗近も巻き込むからね。』
「おっと、お手柔らかに頼むぞ?」
『えっ?やだよ。
加減なんて、しないよ?
徹底的に巻き込んでやる。』
それこそ、俺の望む事だ。
好きなだけ巻き込め。
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