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月の雫

第4章 様々な関わり方


三日月「今日はいつもの姿ではないんだな。」

『装束は仕事着にしたの。
シャキッとするからね。』

三日月「そうか。」

今日も宗近はニコニコと穏やかだ。

『どうしたの?何か用があった?』

三日月「いや、月胡に会いたかっただけだ。」

…本当に?
何か、気になる事があるんじゃないのかな。

『窓、開けるね。』

空気を入れ替えれば宗近にもいいかと思い窓の方へ行き、鍵に手をかけると…

『…宗近?』

後ろからギュッと抱き締められた。

三日月「………。」

何も言わない宗近。
どうしたのか不安に思うが、それ以上に胸がうるさいくらいに騒ぎ出す。

三日月「月胡。」

あ…
宗近の力が私に入ってきた。
力を移しているのか?

『どうしたの?宗近。』

三日月「俺にも月胡の力を少しくれぬか?」

『いいよ、もちろん。』

宗近の腕の中で向きを変え、宗近の胸元に頬を埋めて抱き締める。
何か不安に思っているのだろう。
それなら、安心させてあげたい。
私の力で宗近を包むように、流し込む。

『…どうかな?』

三日月「うむ…月胡の力に包まれるのは、こんな気持ちなのか。」

『?』

三日月「力はもう、充分だ。
だが…もう少し、このままでもいいか?」

『宗近がそれで安心するなら。』

三日月「あぁ。」

いつもの装束じゃない宗近は細く見えたけど、そんなことはなく。
明らかに私とは違う、男の人の身体だった。
広く硬い胸と背中。
引き締まった腕。

でも、とても温かい。
人の身体って、こんなにも温かいなんて知らなかった。

『なんだか、こうしてると安心するね。』

三日月「…そうか。
なら、好きなだけ抱きしめてやるぞ。」

『んー。
魅力的だけど、顔を見て話すのも捨てがたい。』

三日月「それもそうだな。」

スッと宗近の腕が解かれた。

三日月「執務室で話すか?」

『ここでいいじゃない。
休日なんだから、執務室行かなくても。』

三日月「そうか?」

『私と宗近の仲なんでしょ?』

三日月「…そうだな。」

安心したのかな?
先程よりも宗近の気が落ち着いているようだ。
何かあったのか気になったが、宗近が話さないなら無理には聞かなくていいか。

それから、夕食の支度をするまで宗近と過ごした。
もらった力をそっと胸に仕舞って。

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