第37章 契りー髭切ー※
ー月胡ー
髭切から、話があるので自室へ行くと言われた。
何を言うのか、解っている。
彼の決意が伝わってきたから…
「失礼するよ。」
『どうぞ。』
部屋に入った髭切は私の所へ来ると、膝をついて座した。
「月胡、修行の許可をもらえるかな?」
…やはり、そうか。
髭切は決めていたんだね。
休暇から戻ったら、私の答えがどうであろうと修行に出ると。
『…許可します。』
「ありがとう。」
立ち上がり部屋から出ようとする髭切の背に抱きついた。
「月胡?どうしたの?寂しくなっちゃった?」
『…うん。』
「月胡…。」
『私は…髭切の事を愛している。』
「!!!」
『髭切…修行から戻ったら私を選んでくれませんか?』
私の決意も受け取って欲しい。
想いも一緒に、連れて行って欲しい。
「もちろんだよ、月胡。」
振り返った髭切の腕に包まれた。
「始めから、僕には月胡しかないんだ。
…ありがとう、僕を選んでくれて。」
『髭切…。』
「…契りを結ぶのは、帰ってきてからね。
僕も…けじめをつけてくる。
月胡に相応しくなるために。」
『…待ってる。』
「でも、これくらいは許してね。」
『んっ…ふぁっ…。』
顎を掬われ、深く深く口づけられる。
舌が絡められ、口内の弱い所を探り…
私が反応すると、何度もそこを辿る。
まるで、忘れないようするかのように。
「ねぇ…今日は一緒に寝よう?」
『うん。』
ふわりと抱き上げられ、ベッドにはこばれる。
そのまま髭切に抱きしめられ、眠りについた。
きっと、目を覚ました時に彼は居ない。
見送られるのを、望んでいないから。
だから、眠ったふりをするね。
待ってるから。
私のところへ帰ってきて。
祈りを込めて、瞳を閉じた。
翌日…
やはり、髭切は旅立っていた。
膝丸「兄者が修行に立った。
支度は俺のを渡したぞ。」
『ありがとう、膝丸。』
膝丸「…兄者を選ぶのだな。」
『うん。』
膝丸「……ありがとう。
これで俺は月胡の義弟になるのか。」
『よろしくね?』
膝丸も、受け入れてくれてありがとう。
二人で髭切の無事を待とう。
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