第36章 契りー三日月宗近ー ※
縁を結び、俺色に染まった月胡を再び抱き上げて褥へと運ぶ。
もっと抱きたいのだが…
今日の月胡は人から神へと変わる時。
どんな負担があるのか、俺にも解らない。
「もう、休もう。」
『ん…なんだか、すごく眠い。』
「…こうして、抱いているから安心して眠れ。」
『宗近…。』
「なんだ?」
『ありがとう…愛してます……。』
そう言い、三日月の浮かぶ瞳を閉じた。
…どうしてくれる?この気持ちを。
可愛い事を言うだけ言って、眠ってしまうとは。
腕の中で眠る月胡の顔にかかる髪をはらい、額に口づける。
ま、これからいくらでも抱く事はできる。
今は俺に染まっていく月胡を堪能させてもらうとするか。
「待つのは慣れている。」
それも、報われぬ事を待つのではないからな。
いくらでも、待てるさ。
今剣「三日月さん、起きてますか?」
日がだいぶ高くなった頃、今剣が訪ねて来た。
「起きているぞ。何かあったか?」
月胡はまだ眠っているが、俺は褥から出て身支度も整えていた。
今剣は中に入って来ると俺の前に座し…
今剣「このたびは、おめでとうございます。」
…皆に伝わったのだな。
今剣が代表にされたのか。
「ありがとう。」
今剣「今夜は祝言を執り行いたく、こちらをお待ちしました。」
と、俺の前に二つの箱を出した。
「これは?」
今剣「お二人のお衣装です!
僕たちで用意したんですよ!
これを着て、夕食の時間に広間へいらしてくださいね。」
「あい、わかった。」
…本当に、月胡の刀剣達は温かいな。
『…誰か来たの?』
目を覚ましたか。
ー!!
日の下で見た月胡は神々しいほどに美しかった。
俺の月胡…
吸い寄せられるように、月胡を抱き締める。
「身体は辛くないか?」
『何ともないよ。』
「そうか、良かった…
皆が夕食の時に祝言をあげてくれるそうだ。」
『えっ!?』
「…嬉しいな。」
『…うん。』
と、俺の胸で静かに涙を流す。
用意された衣装を見たらまた、泣くのだろうな…
ー三日月宗近・endー