第4章 様々な関わり方
フライパンを温め、お湯を沸かし、コーヒー豆を挽く。
伽羅「良い香りだ。」
『伽羅も飲む?』
伽羅「いいのか?」
『もちろん。
じゃ、二人分挽かないと。」
伽羅「俺が挽く。」
『ありがとう。』
伽羅は良く気がまわるな。
冷静な目で周りを見ているから、か。
馴れ合わないと言っているのも、それがあるからなのかもしれない。
『パンはいらない?』
伽羅「…もらう。」
じゃ、2枚焼こう。
温まったフライパンにバターを多めに落とし、食パンを焼く。
これも美味しいんだよねー。
伽羅から挽いた豆をもらい、ペーパーフィルターでドリップすると厨にコーヒーの香りが広がる。
『この豆は、酸味控えめの苦味強めなの。』
伽羅「主の好みか?」
『そうだよ。』
伽羅「…覚えておく。」
『ありがとう。
さ、出来たよ。どうぞ。』
伽羅「あぁ。」
久しぶりのコーヒーだ。
ここに来てからは、緑茶が多かったから。
『美味しい…。』
伽羅「…美味いな。」
『良かった。』
伽羅も気に入ってくれたようだ。
それにしても、食べ方が綺麗だな。
『伊達政宗はマナーがちゃんとした方だったの?』
伽羅「…そうだな。」
だから、伽羅もなんだね。
やはり、刀だった頃の主の影響は大きい。
刀剣の背景は大事だ。
伽羅「…鶴丸。」
『ん?』
伽羅「主は鶴丸国永を知っているか?」
鶴丸国永…
伊達家と関わりのある、平安時代の刀…
『うん、知ってる。
…会いたいの?伽羅。』
伽羅「……。」
無言は肯定。
『努力するよ。待ってて。』
伽羅「恩にきる。」
『顕現出来てからにして。』
やはり、それぞれに会いたい刀剣が居るんだ。
大丈夫、髭切・膝丸を呼べたんだ。
自信を持って、鍛刀しよう。
まずは、資材量を調べておくか。
伽羅「無理はするな。」
『わかった。』
食べた食器を片付けて、自室に戻る。
…と。
『何してんの、宗近。』
三日月「月胡の帰りを待っていた。」
『いや、ここは私室だよ。
出入り自由は執務室。』
三日月「良いではないか、俺と月胡の仲だろう?」
そんな仲だったか?
…まぁ、いいや。
『漁らないんだったら、いいよ。』
三日月「わかった。」
素直でよろしい。
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