第35章 かけがえのない日々の中で
それからは、短刀たちも来て卓球をして。
美味しく夕飯をいただき、大人の時間。
陸奥守「ささ、主!」
『ありがとう、陸奥守。』
静かに酒盛りをしていた。
騒ぎたいのは広間で、静かに飲みたい私達は縁側で。
少し欠けた月を愛でながら、外の風に吹かれていた。
…小狐丸の膝の上で。
『何故に私は小狐丸に抱かれているのでしょうか?』
石切丸「月胡が先程、くしゃみをしたからね。」
岩融「小狐丸が温めてくれているのだな。」
いや、確かに少し肌寒かったけど。
落ち着くような、落ち着かないような…
『…重くない?』
小狐丸「主様は、軽いですよ。
それよりも、寒くはないですか?」
『おかげで、温かいよ。』
三日月「なんなら、俺が温めてやろうか?褥で。」
膝丸「…何を言っている、三日月宗近。」
髭切「そうだよ。それなら、僕の方が…。」
鶯丸「却下。」
大典田「…だな。」
髭切「みんなして…。」
みんな、仲が良いなぁ。
小狐丸の髪を身体に巻きつけて、暖をとりながらの夜更かし。
なんだか、フワフワしてきた…
鶴丸「月胡、眠いのか?」
『ん…気持ちいい…。』
刀剣達「「「/////。」」」
三日月「どれ、俺がもっと気持ち良く…。」
燭台切「アウト、だよ。三日月さん。」
三日月「おや、手厳しい。」
みんなの声が優しく響く…
子守唄のようで、心地いいなぁ…
歌仙「あれ?主…眠ってしまったね。」
小狐丸「では、この小狐が責任を持って…。」
明石「いや、あかんやろ。」
蜻蛉切「どれ、私が部屋までお運びしよう。」
小狐丸「あ…ぬし様ぁ。」
巴「蜻蛉切ならば、安心だ。」
伽羅「そうだな。」
夢を見た。
本丸のみんなが笑っていて…
幸せそうに、こちらを見ている。
宴のようなものが催されていて、御膳がずらっと並んでいて。
私の隣に居るのは…
五虎退「あの、主さま…?」
前田「朝餉のお時間ですよ。」
『ん…おはよう、五虎退・前田。』
昨日、あのまま寝てしまったのか。
誰が運んでくれたのだろう?
それに、さっきの夢…
なんだか、リアルだった。
けど、はっきりとは覚えてない…
前田「主君?どうなさいました?」
『あ、なんでもない。すぐ、支度するね。』
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