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月の雫

第35章 かけがえのない日々の中で


髭切「大事にとってあるよ。」

『…気配を殺して来ないでよ。』

ちょっと、びっくりした。
ていうか、取っておいてくれてるんだ…

『捨てていいんだよ?』

髭切「嫌だよ。絶対に、捨てない。」

『そう…
大切にしてくれて、ありがとう。』

髭切「当たり前でしょ?」

そんな風に言ってくれる、髭切の優しさが嬉しい。

髭切「…伸びたね。」

と、言いながら優しく髪に触れる。
慈しむように、壊れ物を扱うように。
そして、吸い寄せられるように髭切の顔が近づいてきて…

加州「はい、そこまでー。」

大和守「ホント、油断ならないんだから。」

と、髭切と私の顔の間に加州の手が差し込まれた。

髭切「もー。邪魔しないで欲しいなぁ。」

大和守「主!卓球、やろうっ!!」

『いいねぇ!やろう、やろう!』

……でも。

大和守「あの…主?」

『……なによ。』

加州「もしかして……。」

『球技は好きだけど、苦手なの。
でも、楽しんでいるので気にしないでくださいっ!』

………。

大和守「…ぷっ。」

加州「くくくっ…。」

二人「「あはははははっ!!」

そんなに笑わなくてもいいじゃない。
隠していた訳じゃないし、嫌だって騒いだわけでもないんだし。

『…もう、いいもん。』

大和守「ごっ、ごめんっ!
そういう事じゃなくてね?」

加州「なんでも最強な主が、下手だけど楽しそうにしてるのが嬉しくてね。」

『…加州…大和守…。』

大和守「僕たちでも、主の事を笑顔にできるんだね。」

加州「一緒に楽しめる事が、嬉しくて。」

そんな事で喜んでくれるの?
二人はいつも、私を笑顔にしてくれたのに…

『…もう一試合、してくれる?下手だけど。』

加州「いーよ。」

大和守「負けても楽しそうだから、こっちも楽しいしね。」

弱いのが分かっているから、楽しむしかないじゃない。
これで不貞腐れていたら、誰も遊んでくれなくなる。

大和守「あれ?強くなってきてる!!」

『さすがに、ねぇ。』

これだけ同じ事を何度もやれば、少しは上達するというもの。

加州「いや、上達のペースが早くない?」

『そうかな?』

剣技の習得に比べたら、覚えやすいのかもしれない。(個人の感想です。卓球が奥深いスポーツなのは作者も体験済みです。)



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