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月の雫

第35章 かけがえのない日々の中で


宿に着くと、短刀達はすぐにプールへ。
大人三条と源氏兄弟はお風呂へ。
伊達・新選組など残りの刀剣達は酒盛を始めた。
(どうせ和泉守はすぐに潰れるだろうが)

私は…
一人で今回の件を整理していた。
感傷に浸りたいというのも否めないが、何より記憶の方が怪しい。
覚えている自信がないのだ。
二週間も楽しんでしまったら…忘れる自信しか、ない。

…なんてね。
自分の手を見つめる。

もう、人ではなくなっていたが…
私は想っていてくれた者を斬った。
咎められる事はないが、それで良かったと思いたくもない。

いや、忘れたくないんだ。
強い力を持っている、なんて持て囃されてきても。
守れなかったものがある。
守れたのもの方が大きいけれど、事実なんだ。
それに、一人では帰ってくる事も出来ないのに突っ走って。
もっと他に策はあったかもしれない。
私の行動一つで皆を危険に晒したかもしれないんだ。

逃げずに、誤魔化さずに。
向き合うんだ。

三日月「それは、一人でなくとも良いであろう。」

いつの間にか、部屋に宗近が来ていた。
よく見ると、その後ろに髭切・膝丸・小狐丸・石切丸・岩融の姿も。

『…お風呂から戻ってきたんだ。』

小狐丸「えぇ。毛艶がさらに良くなりましたよ。」

『本当だ…梳かしてあげる。』

小狐丸「!ありがとうございます。」

私が居た窓際に座った小狐丸の髪を梳かす。

『私が考えていた事、伝わったの?』

石切丸「いや、月胡なら考えているだろうなと思ってね。」

『そっか…。』

髭切「月胡って、意外と単純だから。」

『…だよね。』

髭切「おっと…。」

膝丸「そこは“そんな事ないっ!”と来るのを期待したんだが。」

髭切がわざと言ったのは解るけど…
本当にそうだなぁと思ってしまったから。
単純というか、単細胞の方が合ってるかな。
いつまでたっても、成長しない。

三日月「ふむ…これは、重症だな。
どれ……岩融。」

岩融「任せろっ!」

えっ?
なになに??

『Σちょ、岩融!?』

岩融「口を閉じぬと、舌を噛むぞ!」

えー!?
何をする気なの?





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