第35章 かけがえのない日々の中で
翡翠「明日から二週間の休暇だ。
月胡が調子を戻すのにはそれくらい必要だと思うからな。
場所は前と同じ。
しっかり休んで、休暇明けからはビシバシ働けよ。」
全員「「「はーい!」」」
『では、いただきます。』
また大騒ぎするかと思ったが、みんな静かに楽しんでいる。
やっと、落ち着いたのかな。
各々が好きに過ごし始めたので、私も部屋へと下がった。
…久しぶりに一服しようかな。
それには、お酒も必要かしら。
お盆に長曽祢からの煙管と缶チューハイを乗せて、縁側へと腰掛ける。
こんのすけ「主様…。」
『こんのすけっ!どこに行ってたの?』
戻ってきてから何度も呼びかけたのに、反応してくれなかったこんのすけが現れた。
こんのすけ「主様ぁっ!!」
もふんっ!と胸に飛び込んできた。
『…みんなに気を遣って、我慢しててくれたんだね。』
こんのすけ「こんのすけは…こんのすけは、生きた心地がしませんでしたよ。」
『…ごめんね、こんのすけ。
そして、ありがとう。』
胸の中のこんのすけを抱きしめ撫でてあげると落ち着いたのか、膝の上で丸くなった。
『今日は一緒に寝ようか。』
こんのすけ「はいっ!」
『明日は私がお稲荷さんを作ってあげるね。』
こんのすけ「是非っ!!」
こんのすけを抱き上げ、ベッドに入る。
『こんのすけ。』
こんのすけ「なんでしょう?」
『私ね、休暇が明けたら…好きな刀剣に想いを伝えようと思うの。』
こんのすけ「それは…!!」
『うまくいったら、ずーっと一緒に居られるね。』
こんのすけ「いくにきまってます!ここの皆様は主様を心から愛してらっしゃいます。
…どなたを選ぶかは、後のお楽しみにします。
一番にお伝えしたいでしょうから。」
『ありがとう、こんのすけ。
そうなるように、祈ってて。』
こんのすけ「はい!」
『…おやすみ。』
こんのすけ「おやすみなさいませ。」
こんのすけのもふもふな毛並みを抱き締めて、静かに目を閉じた。
日常が戻ってきた。
犠牲もあったけど。
何もかも包み込み、抱きかかえて。
私は生きていく。
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