• テキストサイズ

月の雫

第34章 続いてゆく道


『狭間にいる時、死を意識した…
私、死にたくないって思ったの。
前は、いつ死んでもいい…
いや、そんな事考えた事もなかった。
審神者になりたての時は、みんなの事を護って死ぬなら本望とすら思っていたのに。
死にたくなかった。
みんなと共に、ずっと居たいって。
それだけしか、浮かばなかった。』

山姥切「…そうか。」

物吉「ならば、ずっとお側で幸運を運ばないとですね。」

蜂須賀「少しは恩返しができたのかな。」

愛染「…だな。」

少しどころか…
私の生きる意味になっているよ。
みんなを想うと、それだけで私はなんでもできるんだ。

翡翠「…悔しいな。」

『翡翠?』

翡翠「俺が与えてやりたかったのに。」

『…その気持ちが、今は素直に嬉しいよ。』

翡翠「月胡…。」

『もう、翡翠にも無駄な意地は張らない。
貴方が居なかったら、今の私は存在していない。』

翡翠「…お前の口からそんな言葉が聞けるとはな。」

間違いなく、翡翠のお陰で今の私は形成された。

『これからも、よろしくお願いしますね。』

翡翠「…こちらこそ。」

翡翠と盃を交わす。
こんなに清々しい気持ちで翡翠と居られる日が来るなんてね。
生まれ変わったような気分。

どんな過去であろうと、全てが今の私を作っている。
そう思うと、どんな思いでも愛おしく思える。

きっと…
どんな私でも受け入れ、愛してくれる人のお陰だ。

私は今、生まれて初めて自分を愛している。
みんなに愛され、大切にされている私を大好きになれた。

膝丸「…良い顔をしているな。」

『うん。』

髭切「もっと好きになっちゃうよ。」

『なって、なって。』

三日月「愛奴よ。」

宗近が優しく頭を撫でてくれる。
みんなが微笑んでくれる。

やはり、ここ以外の居場所なんてない。
さらに、決意が強く固まる。

待たせてごめんなさい。

私は貴方のものになります。
貴方と契り、永遠にこの本丸で生きて行く。






/ 274ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp