第34章 続いてゆく道
大典田「…強くなったな。」
光兄さんの大きくて温かい手が、優しく撫でてくれた。
『光兄さんやみんなが居るから、強くなれた。』
大典田「そうか。」
『でもね、もっと強くなるよ。
本丸やみんなを守るために。』
守る力はきっと、何よりも強い。
だから私は、戻って来れた。
みんなの涙を忘れない。
悲しませた事も。
心配させた事も。
それに、あんなにも喜んでくれた事も。
加州「主ー。
和泉守が潰れたー。」
『…そっとしておきなさい。』
亀甲「放置!?放置ですか!?」
『……。』
亀甲「あぁっ…その冷ややかな視線…たまりません…。」
陸奥守「だっはっはっ!」
大和守「Σ陸奥守!脱がないでっ!!」
千子「脱ぐ!?脱ぐのですね!?」
蜻蛉切「脱ぐなっ!」
翡翠「…大丈夫か?お前の本丸。」
『…ダメかもしれない。』
呆れるくらい、いつも通りだ。
こうしてみんな、日常を守ってくれたんだ。
三日月「頼もしいだろ?」
『…うん。』
本当に。
この本丸は、大丈夫。
こんな風にずっと、続いていくんだ。
小狐丸「ぬしさま、どうぞ。」
『ありがとう。
…少し、毛艶が良くないね。
明日、私が整えてあげる。』
小狐丸「ありがとうございます!
嬉しいです…。」
毛艶が悪くなるほど、心配してくれたのか…
みんなも、ゆっくり休ませてあげたい。
『翡翠…。』
翡翠「すぐに手配する。
それまで、この本丸は休暇だ。
また、一週間の慰労の後に稼働しな。」
『ありがとう。』
翡翠「これくらい、当然だ。
こちらの後始末をさせたんだ、お前には頭が上がらない。」
『でしょ?』
翡翠「調子にのんな。
…本当に、無茶しやがって。」
くしゃ、と私の頭を撫でた。
『…本丸を守ってくれて、ありがとう。』
翡翠「どってことねーよ。」
『…ありがとう。
…そして、ごめんなさい。』
翡翠「…謝んな。」
翡翠への色々な気持ちが込み上げてきて、言葉が詰まる。
そんな私の頭を、翡翠は包み込んでくれた。
刀剣達も分かってくれているようで、今回は何もせずに見守ってくれている。
怖かった…
辛かった…
寂しかった…
苦しかった…
死んでしまうのかと思った。
.