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月の雫

第34章 続いてゆく道


三日月「…今回は、源氏の兄弟に助けられた。」

『そうなの!?』

膝丸は分かるけど、髭切も?

三日月「…見せたかったぞ、二人の連携を。」

『そうだったの…。』

髭切「僕も見せたかったな。
三日月の涙。」

えっ…宗近、私の居ない所でも泣いたの!?

膝丸「そう言う事は言わぬものだぞ、兄者。」

髭切「そうなのかい?
でも、知っておいた方がいいでしょ?」

『知りたいような、知らずにいたかったような。』

掴みどころがなく、気高くて誰よりも強い宗近を泣かせてしまった…
それだけの事を私はしてしまったのだ。

『…主・失格だなぁ。』

三日月「何を言う。
この俺を泣かせたのだ、最高の主ではないか。」

今剣「そうですよっ!」

伽羅「…一から話さないと分からないのか?」

…伽羅の一言は、本当に重い。

『ごめんなさい、大丈夫です。』

伽羅「なら、いい。」

そう言って、私の盃を満たすと伊達組の方へ戻った。

宗近の涙、か。
美しかっただろうな…

三日月「もう一度、泣いてみせるか?」

『えっ!?駄目。』

三日月「なぜだ?月胡を想えば、すぐに流れるぞ?」

『…泣かせたくないのよ。
宗近やみんなが泣くと、心が張り裂けそう。』

小夜「嬉し涙は、いいでしょ?」

『…そうね。』

蜂須賀「一番の泣き虫が言うのか。」

堀川「僕たちだって、主さんの涙は辛いですよ?」

『…気をつけます。』

江雪「ここでなら、拭う者がたくさんおりますからいいのでは?」

鶴丸「ほら、月胡。
拭う物なら、ここにあるぞ!」

山姥切「それは俺の被っている布だ。」

本丸が笑いに包まれる。

やっぱり、嬉し涙もいいけど笑い声や笑顔の方がいい。
ああ…
これが私の本丸だ。
ずっと欲しかった、居場所。
私でも誰かを大切に想い、愛せる事を教えてくれた。

私は本当に、何の取り柄もないと思っていた。
生まれ持った力は、望んだ物でも努力して身につけたものでもない。
ただの授かり物だ。
そのせいで一人にされて、厳しい訓練を受けさせられた。

それにはちゃんと、意味があったのだ。
何も無駄な事などない。

そう、一つもないんだ。



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