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月の雫

第34章 続いてゆく道


翁から引き継いだ刀剣達が驚いている。
…宗近を除いて。

鶯丸「翁、とは?」

『この本丸の前任者だよ。
私は翁の代替わりで、ここの審神者になったの。』

亀甲「そうだったのですか。」

『翁は…守護神になられた。
刀剣達を護る、守護神に。』

翡翠「やはり、神格化されたか。」

まぁ、当然だ。
あれだけの力と人格を備えていらっしゃるのだから。
刀剣の事を、とても大切にされていたし。
なんの不思議もない。

『…だから、みんなの祈りが翁に届いてね。
私を迎えに来てくださったの。
…始めは、あの世へのお迎えかと思ったんだけどね。』

長谷部「主っ!!」

『みんなの祈りがそうさせてくれなかったの!
翁が嘆いておられたよ、この本丸の祈りが強すぎて他の刀剣の祈りや願いが届かないって。』

蛍丸「…当然。」

『…うん、ありがとう。』

力強く見つめる蛍丸の頭を撫でる。

『みんな、本当にありがとう。
こんなに祈ってもらえて…私はなんて幸せ者なんだろう。』

また、涙が溢れる。

『これが、今回の顛末です。』

太郎「話してくださり、ありがとうございます。」

『…ん。
さ、食べて呑もうか。』

一番気になっている事だろうから、話しておきたかった。
みんなは優しいから、無理矢理話させようとはしない。
もう、気にする事は何もない。
心から再会を喜び合える。

次郎と日本号と不動は本当に禁酒していたようで、久しぶりのお酒に早くも酔っている。
ありものなんて言いながら、私の好物ばかりを並べてくれた忠光と歌仙。
いつ帰って来てもいいよう、用意しておいてくれたのが言われなくても分かる。
短刀達は入れ替わりで抱きついてきて、不在中の事をたくさん話してくれた。

…良かった。
みんな、本当に何が何でも日常を保とうとしてくれたんだね。
さすがだよ、私の刀剣男士は。

三日月「逞しくなっただろ?」

『…本当にね。』

誇らしくて仕方ないよ。

『そう言えば、宗近。』

三日月「なんだ?」

『私が翁に助けられたと話した時…
少しも驚いてなかったね。』

三日月「あぁ。
…感じたのだ、月胡が現れる時に懐かしい気配を。」

『そうだったの…。』

さすが、翁の初期刀で近侍だ。



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