第34章 続いてゆく道
ー月胡ー
翁に導かれて鏡の中へと足を踏み入れた途端、強い光に包まれて目を閉じた。
そして、何かに強く引かれ。
その感覚が無くなると、光が収まった。
ゆっくり、瞳を開くと…
『本丸の…庭だ。』
戻って…来れたんだ…
私、帰ってこられたんだ……
三日月「月胡っ!!」
宗近が着物を乱して走ってくる。
あんな姿、戦闘中でも見た事がない。
膝丸「月胡!!」
髭切「月胡っ!!!」
その後ろに膝丸と髭切が続いている。
膝丸は険しい表情をしてるし。。
髭切もあんなに息を切らしている。
どちらも、見た事がない姿。
でも、間違いなく私の本丸で…
私の宗近と膝丸と髭切だ。
三日月「月胡っ!!」
愛しい人達だと認識した瞬間に、宗近が走って来た勢いのまま抱きしめて来た。
三日月「あぁ…月胡だ。
間違いなく、月胡だ……。」
温かい…
苦しいくらいに抱き締められているのに、嬉しい。
膝丸「月胡!」
髭切「月胡だ…。」
続いて髭切と膝丸も、両側から抱き締めてくれた。
私…
本当に、帰って来たんだ……
『…帰って…来れたんだ……。』
三日月「あぁ…そうだな。」
髭切「月胡…。」
膝丸「よく…戻ってきた…。」
『うん…私……帰ってきた……
帰れた……
…っうわぁぁぁぁっ!!』
もっと、言いたい事があるのに。
伝えなきゃいけない事があるのに。
涙が抑えられない。
三日月「月胡…。」
膝丸「…っ。」
髭切「……。」
三人も…泣いてくれている……
それ程に心配させてしまったんだ…
燭台切「なんの騒ぎだい?三人とも…
えっ…この気配…声は…。」
三日月「あぁ…月胡が…帰ってきたぞ。」
燭台切「Σ!!
すっ、すぐにみんなを呼んでくるっ!!」
光忠だ…
みんなが来る…
泣き止まないと……
そう思うのに、涙が止まらない。
髭切「ダメだよ…擦ったら目が腫れてしまうよ?」
膝丸「どうせ、皆が来たらまた泣くのだから無理に止めなくていい。」
三日月「そうだな。」
なんだよ…そんなに泣き虫じゃないよ。
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