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月の雫

第32章 祈りと願い


ーothersー

三日月「遡行軍が…消えた?」

膝丸「やったのか?」

髭切「でも…胸騒ぎがする。」

本丸の結界付近で遡行軍と睨み合っていた本丸組は、事の進展に不安を覚えた。
その時…
先程まで狭間と繋がっていた場所が賑やかになった。

五虎退「戻られたみたいですね。」

蜂須賀「行くぞ。」

本丸に残っていた男士は、そこへと走った。
早く主に会いたい一心で。

…だが、すぐにそれは叶わぬ事だと気付かされる。

今剣「…あるじさま、は?」

陸奥守「すまん…今剣、すまん……。」

小狐丸「どういう事ですか?陸奥守吉行。」

翡翠「…俺が話す。」

と、決行組につかみ掛からんとする本丸組を止めた翡翠はみなを広間へと移動させた。

翡翠「…月胡はお前たちを守る為一人、狭間に残った。
ご丁寧に繋がりを断って、な。」

小夜「…戻って来るんですよね?」

翡翠「わからんっ!
全く前例のない事だ、今回の事は。」

石切丸「…では、我々に出来る事は?」

翡翠「普段通りの生活をする事。
前に月胡が入院した事があっただろ?
その時と同じだ。
お前達に出来る事をする。
…そして、祈り続ける事だ。」

前田「主様…。」

翡翠「話は以上だ。三日月宗近。」

三日月「なんだ?」

翡翠「本丸はお前に任せる。
月胡が、お前にしか任せられないと言っていた。
…頼んだ。」

三日月「あい、わかった。」

翡翠「俺の方でも、月胡が戻る方法を探る。
…ま、お前らの祈りの方が効果あるだろうがな。」

一期「…主はご無事なのでしょうか。」

翡翠「アイツがお前らを残してどーこーなるわきゃねーだろ。
…じゃ、俺は戻る。
時々、様子を見に来るからな。」

そう言い、翡翠は政府へと戻っていった。
その顔は、苦虫を噛んだように歪んでいた。

本丸の広間では短刀達がすすり泣き、他の刀剣も今までにないほど沈んでいた。
それもそうだろう。
月胡との繋がりが、全く感じられなくなったのだから。

三日月「今日は各々、自由に過ごせ。
明日からは討伐以外、普段通りに過ごすぞ。」

そういうと三日月は、執務室へと向かった。



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