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月の雫

第31章 突入


薬研「大将っ!こっちだ!!」

『わかった!』

太鼓鐘「背中は任せろっ!」

『頼んだよ!』

鶴丸「振り返らずに行けっ!」

『怪我するなよ?鶴丸っ!』

鶴丸「おうよっ!」

本当に、頼もしい。
薬研達が道を開けてくれて、その小さくも頼れる背中を見つめながら走った。

乱「主さん、あそこが入口みたい!」

『突っ込むよ!』

私も抜刀し、踏み込む。

ぐぉぉぉおぉぉっ!!

本丸の中にも、遡行軍が。
八咫は天守か?

愛染「階段はこっちだ!」

『ここは任せたよ。』

短刀「はいっ!」

私は迷わずに天守を目指す。
気配がする…
懐かしい、八咫の気配が。

途中で出て来る遡行軍は術で倒し、刀を温存する。
アイツを仕留めるまで、折れられては困るんだ。

こんのすけ「主さまっ!本丸にも遡行軍が出現しました。
結界に阻まれて敷地内にはまだ入ってませんが、時間の問題です。」

『やはり…結界を破れたとしても、庭にしか入れない。
庭に入ったら最後…留守居役が優秀だから心配ない。
報告、ありがとう。
もう、戻りなさい。』

こんのすけ「はいっ!
主さま、御武運をっ!!」

こんのすけ、怖かっただろうに…
役割をはたしてくれて、ありがとう。

宗近、髭切、膝丸、みんな。
本丸を、頼むよ。

最上階まで登ると、遡行軍は消えていた。
目の前の襖を開ければ…そこには八咫が居るはず。

大きく深呼吸をして、襖を蹴り飛ばす。

『…来たよ、八咫。』

八咫「待っていたよ、僕の月胡…
あぁ…さらに美しくなって……。」

目の前に居るのは、本当に八咫なんだろうか。
髪は伸び放題でボサボサ。
目は紅くギラギラと光り、禍々しい気を纏っている。

『お前はずいぶんと醜くなったな。』

八咫「月胡…僕の…月胡…。」

…もう、理性もないのか。

八咫『月胡ー!』

手にした刀を抜いて、私へと突っ込んでくる。

ガキィンッ!!

火花が散るほどの衝撃。

八咫「気に入らない…
他の男の加護が…気に入らないっ!」

言いながら切り込んでくるが、全て受け止める。
重いが、何も感じない太刀筋。
…これが、私のライバルだったなんて。




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