第31章 突入
ー月胡ー
夜明け前。
禊を済ませ、気合を入れて装束を締める。
身につけるものも、刀も持った。
本丸の結界は強化した。
『…よし。』
三日月「月胡、翡翠殿がみえたぞ。」
『今、行きます。』
と、呼びに来た宗近の脇を通ろうとしたら…
三日月「月胡。」
ギュッと抱き締められた。
三日月「…待っている。」
『…うん。』
私も抱き締め返し、応える。
廊下へ出ると、髭切・膝丸が。
髭切「月胡。」
膝丸「月胡。」
二人とも、片手を上げている。
その手に私の手を軽く叩きつける。
『いってくる。』
髭切「いってらっしゃい。」
膝丸「無事に帰って来い。」
『はい。』
二人の前を通り過ぎると、本丸組がずらっと並んでいた。
みんなも髭切達と同じように、片手を上げている。
みんな…
長谷部「御武運を。」
今剣「まってますからね!」
石切丸「気をつけるんだよ。」
小狐丸「ご無事で。」
岩融「油断なさるな。」
一人一人、触れるたびに力を流してくれる。
温かい…
そして、私を守るように包んでくれている。
『必ず帰る。
本丸を頼みます。』
本丸組「「「はっ!!」」」
『これは、全員に。
折れる事は許されない。
その事を覚悟とし、この任を全うするんだ。
これを主命とする。
…いざ、出陣っ!!』
本丸組に見送られ、狭間へと向かう為に残糸の元へ。
翡翠「覚悟は?」
『審神者になった時、とうに固めている。』
今更、何の覚悟が必要だろうか。
翡翠「その意気だ。…行こうか。」
『はい。』
討ち入り組を包み込み、いざ狭間の時へ。
.