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月の雫

第30章 作戦


髭切「…わかった。」

膝丸「…俺も、従う。」

良かった…
聞いてくれた。

みんなも納得してくれたようで、一緒に戦ってくれる。

宗近「…必ず、勝つぞ。」

『うん。』

話を終え、各々明日に備える。
贈り物でもらったアクセサリー類は全て身につけて行こう。
みんなの想いと祈りが込められているから。
刀の手入れもした。
…そうだ。
宗近にあつらえてもらった装束を着ていこう。
上等なものだけど、それだけ守りの力が強い。
…私も心強い。

準備を終え、ベッドへと身体を横たえる。

私は少し、嘘をついた。
八咫はおそらく、この本丸の刀剣を嫌っている。
その中でも宗近・髭切・膝丸を見たらおそらく、即折りに来るだろう。
八咫が欲しくても手に入れられなかった私との縁と繋がりを持つ三振を。
もちろん、誰が折られても許せないが、彼らに何かあったら…
私は平常心を保てない。
彼らを失う事が、何よりも怖い。

『…ごめんね。』

直接は言えなかった言葉を夜の帳に放ち、目を閉じた。

「月胡ー、お前強いんだな。」

『八咫に言われると、嫌味に感じる。』

「いや、本心だって。」

始めは良い仲間だった。
共に切磋琢磨していけると、嬉しかったのに。

「月胡が好きだ。」

『…応えられない。』

審神者として生きると決めた。
それを辞めてしまっては、今までの事が全て意味のないものになってしまうから。
それに、八咫の事を異性として意識できなかったし。

「…俺が嫌いか?」

『…私は審神者になるんだよ。』

「なら、俺と共に…。」

そう出来たら良かったのにね。
自分の気持ちを殺して一緒にいても、お互い虚しいだけ。

「俺は、月胡が居てくれるなら構わない。」

…それは、私の望みじゃない。
どうしても、八咫の隣に立つ自分を想像できなかった。

「月胡…俺のものになってくれ…。」

媚薬を盛られ、押し倒された時の苦しそうな八咫…
応えられないのが、私も苦しかった。

八咫…
貴方は今、何を思っている?
対面したら、どうするの?

殺したい程、憎い?

全てをぶつけて欲しい。
…全部、持っていくから。



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