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月の雫

第30章 作戦


『もう…本当に、カッコ悪い。』

物吉「そんな事、ないです。
僕たちの事を思っての事だとは、理解してます。」

『…うん。』

仕方ない。
腹を割って話すか。

『さっきも話したけど、研修時代の八咫と私は同じくらいの力を持っていた。
その後八咫は捕らわれたけど逃げ出して遡行軍へと堕ちたから、今の実力は分からない。
けれど、力の差はそんなにないと思う。
もちろん、私だって翁の元で修行したから負けるつもりはない。
けど、相手は闇落ち寸前。
捨て身で、何を仕掛けてくるか想像できないの。』

そこまでは納得しているようだ。

『…髭切・膝丸を残すのは、私と縁が結ばれている分霊力が強いでしょ?
主命でも、何かあったら振り切って私を守ろうとする。』

髭切「当然でしょ?」

膝丸「それが俺たちの使命だ。」

『だから、よ。』

だから、連れていけない。

『私は…相討ちも辞さない覚悟で臨む。
その時にみんなが来てしまったら、私は力を抜いてしまう。
八咫は何があっても討たなければならない。
全力が出せるように、ここで私を信じて待っていて欲しい。』

髭切・膝丸「………。」

納得はしとないけれど、理解はしてくれたようだ。

『宗近もきっと、主命なんて関係ないって守ってくれるでしょ?
なにより、あなたには本丸を守って欲しい。
私の留守を任せられるのは、宗近だけ。』

宗近「……。」

これ以上は、言わないよ?
もう、わかっていると思うから。

『討伐に選んだ刀剣は、修羅場慣れしている。
夜戦・室内を想定して選んでもいる。
だからといって、本丸組が力不足だなんて少しも思ってないからね。
こちらに襲撃が無いとは言い切れない状況だから、信じて任せるの。
私の自慢で大切なみんなを。』

ここまで話せば、彼らは分かってくれる。
私の覚悟も、みんなへの信頼も。

『もう一度言う。
私は負ける気はない。
だが、何があっても備えなければならないの。
納得のいかない者は、参加しなくていい。
今回ばかりは、私に従ってもらいたい。
…お願い。』

もう、命令じゃない。
私の願いだ。

私の命よりも大切なみんな。
大事な家族。
何に変えても、守りたいの。



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