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月の雫

第30章 作戦


ー月胡ー

昨夜、翡翠はそのまま泊まっていった。
どうせ、朝から作戦会議をするのだから。

正直、助かった。

翡翠が居なかったら、みんなに押し掛けられてただろうから。
主命として私を護るなと言ったようなもんだからね。

…今回は、余裕がないだろう。
私も八咫と対峙することで、手一杯になるはず。
みんなだって、遡行軍を相手する事で私を気にしている場合ではないだろうし。

翡翠「月胡、俺を盾にするなよー。」

『…ごめん。』

翡翠「ありゃ、素直だこと。」

『…作戦、いいかな?』

翡翠「…あぁ。」

刀剣を二つに分ける。
八咫討伐と本丸を守りと。
私を狙っているのは八咫の独断である事は、翡翠の調査で明らかになっている。
だが、手薄になっていると攻められてはいけない。

翡翠「編成はどうする?」

『…三条派と髭切・膝丸は本丸にする。』

翡翠「…荒れるぞ?」

『だから、だよ。』

主命で縛りをかけても、宗近・髭切・膝丸は破るだろう。
私の事となると盲目になってしまう三人は、連れて行けない。
…自分の命を捨ててでも、私を護ろうとするから。

『伊達組と新選組と来派、大典田、乱・薬研・陸奥守・太郎を連れて行く。』

八咫は手段を選ばないだろう。
それこそ、私に一番ダメージを与えるために刀剣を折るかも知れない。
多くは連れていけないが、戦慣れしている彼らなら大丈夫だろう。

『それに、何かあった時に本丸を任せられるのは宗近だけだもの。』

前回の怪我の時、実に良く回してくれた。
みんなからの信頼も厚い。

翡翠「…何もなくやれよ。」

『当然、そのつもりだ。
…だけど、何も備えないのは違うだろ?』

常に最悪を想定しておかなければ、無責任だ。

『…私が戻らない時は、この本丸を頼みます。』

翡翠「嫌だよ。」

『翡翠。』

翡翠「この本丸の刀剣を扱えるのは、お前だけだろ?
俺はお断りだ。」

『…最悪を想定しているだけだ。
そうなるつもりもないから、言葉にはしてないだろ?』

言葉には力がある。
だから、言霊になるような単語は使ってない。

『ふくれてないで、残糸をたどりにいくぞ。』

翡翠以外には頼めない。
大切な家族なんだから。

だからこそ、何も備えないのは無責任だ。
私は審神者なんだから。



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