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月の雫

第29章 見えてきた狙い


宗近に叱られてシャッキリとして、執務室へと戻ったが。
大切な事を忘れていた。

『宗近。』

三日月「なんだ?」

『作戦も大切だけど、膝丸のお帰りと御手杵のようこそを祝わないと。』

三日月「そうだったな。」

翡翠「いいねー。
ついでに壮行会もしちゃったら?」

『良い事言うね、翡翠。
なら、翡翠も参加しないとね。』

翡翠「さんきゅー。
じゃ、今からサボりー。」

『じゃ、宗近は髭切と準備を進めてくれる?
私は翡翠で遊んでるから。』

翡翠「いや、俺とだろ?俺で、じゃなくて。」

三日月「わかった。」

宗近が執務室から出たのを確認して、翡翠に向き合った。

『翡翠。
ブラック本丸と八咫を逃した件、政府の怠慢ではないか?
それとも、私を潰したいお偉方が手引きしているのか?』

翡翠「もう、政府内に月胡を潰そうとする力はないよ。
月胡が居なかったら、政府はとっくに墜ちている。
完全に怠慢だな。返す言葉もない。」

いや。
翡翠がかなり努力しているのは、知っている。
金と権力だけの脳なしが未だに蔓延っているのだ。
それでも、良くなって来ているのは翡翠の力だろう。

『…早く、トップになりなよ。』

翡翠「もう少しだ。
月胡のお陰で、俺の権力が浸透しつつある。」

私を育てたのは翡翠だ。
その私が結果を出せば、翡翠の権力も増すと思っていた。
それが彼への恩返しだ。

『八咫の件が片付いたら、私は交神するぞ。』

翡翠「…そうか。決めたのか。」

『決めた。』

翡翠「それは、俺としてもありがたいわな。
元から強い審神者が神格化して、後ろ盾になるんだから。
だが…。」

『…すまない、翡翠。
私は貴方を選ばない。』

翡翠「だよなー。
分かってたけどさー、なーんだかなー。」

『わっ。』

ぶつぶつ言いながら翡翠は、私を抱きしめた。

翡翠「幸せになれ、月胡。
だが、俺も本気だった事は信じてくれ。」

『…うん。』

翡翠「こらからも、俺なりのやり方で月胡を護るからな。」

『ありがとう、翡翠。
これからも、よろしくお願いします。』

私は翡翠に救われた。
その事実は変わらない。
だから、私もこの本丸から翡翠を支える。



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