• テキストサイズ

月の雫

第29章 見えてきた狙い


三日月「翡翠殿、月胡を借りるぞ。」

翡翠「おう。目を覚まさせてやれ。」

三日月「任せておけ。」

『えっ?なんで?起きてるって!宗近!?』

八咫との事を思い出していたら、広間で別れたはずの宗近に連行された。
連れてこられたのは、本殿。

ダンッ!!

その壁に押し付けられた。

『っ…。』

三日月「また、要らぬ事を考えていたな。」

『だって!』

三日月「黙れ。」

『!!』

宗近が…本気で怒っている…
怖い…なんてものじゃない。

三日月「自分の存在を否定するな。
それは、俺たちをも否定する行為だ。」

『宗近…。』

三日月「不愉快だ。
俺が…俺たちが大切にしている存在が、己を否定するとは。」

初めて…
宗近から強い言葉で言われた。

三日月「俺たちの命より大切だと言っているのが、まだ分からぬのか!?
俺たちの覚悟は、伝わっていないのか?
月胡の為になら、死ねる。
それを証明せぬと分からぬか?」

『ダメっ!』

三日月「…己を否定しようとした月胡が言うのか?」

『ごめんなさい…ごめんなさい、宗近。
もう、しない。』

三日月「月胡は悪くないのだ。
お前が気を持たせるような事をした訳ではない。」

さっきの言葉や態度からは打って変わり、慈しむように包み込んでくれた。

三日月「八咫を斬ると言ったのも、俺たちにその責を負わせない為だろう?
本当に、優しい子だ。」

『気づいていたの?』

三日月「あぁ。大典田あたりもな。」

優しいのは、みんなだよ…

『…やっぱり、私が斬る。
優しさじゃない。
甘ったれた自分を、そして過去を精算するために。
人として…最後の大仕事だよ。』

三日月「人として…まさか、月胡……。」

『…そう言う事。
この件が片付いたら、決断する。』

三日月「…そうか。」

『見守っていてね。』

三日月「…あぁ。」

そう、決めたんだ。
いつまでもぐじぐじしていられない。

戻って作戦を練らなくては。
誰も傷付かぬように、慎重に。
万全にして、八咫を討つ。



/ 274ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp