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月の雫

第29章 見えてきた狙い


執務室に戻り、まずは翡翠に連絡した。
彼も精査を終え、同席する事になり。
私は仕事を片付け、これから話す事を頭の中でまとめた。
みんなも内番や遠征を終えて戻っている。
毎度の事だが、本当に出来る子たちだ。
どこへ出しても、恥ずかしくない。

…どこにも出さないけど。
ていうか、渡さない。

三日月「月胡、時間だ。」

『はい。』

三日月「翡翠殿も広間へ来ている。」

『…行こうか。』

三日月「待て。」

くんっ、と腕を引かれて宗近の胸へと導かれた。

『宗近?』

三日月「大丈夫だ。
どんな話でも、俺は月胡の味方だ。」

『…うん。』

ギュッと抱きしめ返し、宗近から離れる。
ありがとう、宗近。

宗近のおかけで、気持ちがストンと落ち着いた。
落ち着いて広間へと向かえる。

『お待たせしました。
では、始めましょうか。
まず、翡翠様。』

翡翠「あぁ。
御手杵の話から、審神者及び審神者候補者の中から行方の知れぬ者を探した。」

『御手杵は審神者のような格好をした人物らしき者を見たそうなの。
闇落ちしてもなお、自我を失わぬ程の』

薬研「それって、かなりの力を持っているんじゃ?」

『おそらく。
…で、ヒットした人物は八咫(やた)ではないのか?』

翡翠「御名答。」

やはり…か。

『八咫とは、審神者研修で競った相手なんだ。』

翡翠「そして、執拗に月胡を自分のものにしようとしていた。」

…その通り。

『力も強くてね。
大人しくしていれば、立派な審神者になっただろうに。』

そう。
始めは純粋に審神者を目指していたはず。
どこで狂ったか…

翡翠「月胡に執着するあまり暴走し出してね。
月胡に薬を盛ったり、術を仕掛けたり。
ついに、呪詛返しで捉えたのだが…。」

『政府のゆるゆるセキュリティを突破して、姿を消した。』

翡翠「面目無い。」

ったく。
この件も政府の甘さから発生したものじゃないか。

私も当時は捜索したが、見つけられず。
…闇落ちして時間遡行軍に降っていたのなら、捉えられないわなぁ。

…ホント、面倒。

『どうして恋情で道を踏み外すのか…。』

そうまでして、自分のものにしたいのか?
相手が望んでいないのに。
苦しめる事になるとは思わないのだろうか…



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