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月の雫

第29章 見えてきた狙い


綺麗な和紙に、美しい文字で綴られた手紙には…
自分が刀として仕えてきた方々との日々が綴られていて、文末には

ー愛しているー

と。
…恋文じゃないかっ!!
初めてもらったよ!

三日月「…だいたい、何が書かれていたか想像できるな。」

『…スルーして。』

あと3回、こんな手紙をもらったら…
爆発してしまいそう。

太郎の時と同じように、願掛けをして胸にしまう。
頑張って、膝丸。

私も……
過去をきっちり、精算しないと。

三日月「…難儀だな。」

『本当に、ね。
なんだかんだで、結局私の事でみんなに迷惑を…。』

宗近の綺麗な指で、唇を塞がれた。

三日月「これ以上言うと、俺の唇で塞ぐぞ?」

『うっ…。』

三日月「誰一人、迷惑だとは思っていない。
どんどん、巻き込めばいい。
月胡がそう言ったんだぞ?」

『あれはっ!…楽しい事にって意味だったんだけど。』

三日月「月胡が関わっている事なら、俺は楽しい。」

そうだった。
私の刀剣達は、そんな風には思っていない。
私が申し訳なく思うなんて、お門違い。

『開き直って、どんどん手伝ってもらおう。』

三日月「それがいい。」

膝丸が帰還するまでに、ちゃんと話せるようにまとめておこう。
時系列…事実だけでいいよな。

…決めた。
今回の件が片付いたら、答えを出そう。
いつまでも、このままじゃいられない。
その事も、考えるぞ。

『よしっ、やるか。』

端末を開き、夕飯の時間まで仕事に没頭した。
…なんか、燃え尽きた気がする。

三日月「やりすぎだ、月胡。」

『でも、集中できた。』

燭台切「主ー。ご飯の時間、過ぎてるよ?」

『ありがとー、今行くね。
宗近、付き合ってくれてありがとう。』

三日月「あぁ。」

みんなとご飯を食べ、お風呂に入り、縁側で夕涼みをする。
冷酒が美味しいなぁ。

髭切「僕もいいかな?」

『どうぞ。』

夜着に着替えた髭切が、私の隣に座った。
…おそらく、眠れないのだろう。

『髭切も呑む?』

髭切「うん、いただくよ。」

何も言わないし、私も聞かない。
ただ、二人で酌み交わす。
髭切とこんな風に過ごすのは、初めてだな。



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