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月の雫

第29章 見えてきた狙い


三日月「月胡、おやつにしないか?」

みんなが下り、仕事が一区切りした所で宗近が言った。

『そうだね。』

三日月「では、用意してくるからやすんでいろ。」

ふーっ、と息を吐き出して背もたれに身体を預ける。

…また、過去を精算しないとならないのか。
これは、私の修行なのかもしれない。
越えなければならないもの、なのだろう。

『…めんどくさい。』

でも、逃げたくはない。
放っておいたら、私の刀剣達に危害を及ぼすかもしれない。
それだけは、絶対に嫌だ。

三日月「待たせたな。今日のオヤツはみたらし団子だ。」

『美味しそう。』

三日月「誰が作ったと思う?」

えっ?
光忠や歌仙じゃないのか。
よく見ると、彼らが作ったにしては不揃いだ。
でも、丁寧に作ってある。

三日月「御手杵だ。」

『えっ!?』

御手杵が?

三日月「刺すのは得意だからな。」

私を元気づける為に…かな?
ひと串とり、口に運ぶと香ばしい焼き目と甘いみたらしの味が広がる。

『…優しい味。』

三日月「そうか。」

まだ来たばかりだというのに…

三日月「月胡は人たらし、だな。」

『えー!?初めて言われた。』

三日月「いや、違うか。刀剣たらし、だな。」

『…それ、褒めてる?』

三日月「半分嫌味だ。いや、嫉妬かな。」

もう…

『宗近の事、けっこう贔屓してるんだけどなー。』

三日月「そうなのか?」

『残念だな〜。もう、辞めちゃおうかなぁ〜。』

三日月「茶を煎れるか?それとも、団子のおかわりか?」

『冗談だよ!』

まったく、ヤキモチやきなんだから。

『御手杵…本当に大丈夫かな?』

三日月「…浄化された時に、ある程度の気持ちも昇華されたと思うぞ?」

『だと、いいんだけど…。」

仲間が堕ちて行くのを見ているだけなんて、辛いはず。
それでも自我を保って、ここへ来た。

『しばらくは、本丸に慣れてもらおうかな。』

三日月「そうだな。」

さて。
残りの仕事をやっつけるか!

こんのすけ「主さまー。膝丸様からお手紙ですよ。」

!!

『ありがとう、こんのすけ。』

平静を装い、こんのすけから手紙を受け取る。



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