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月の雫

第29章 見えてきた狙い


御手杵「奴等の狙いは主だと言ってたが、倒すのが目的ではなく…
欲している、という感じだ。」

三日月「欲している?力を、か?」

御手杵「いや…主が欲しい…と。」

私が欲しい?

翡翠「…向こうの頭を見たか?」

御手杵「はっきりとは見ていないが…審神者のような者だった。
闇堕ちしたが、自我を保っているという感じの。」

翡翠「……。」

…心当たりがあるんだな、翡翠は。
私にも…無くはない、が。

三日月「翡翠殿。膝丸が戻ったら、全てを話せ。」

翡翠「…わかった。」

三日月「月胡も、だ。俺達に隠し事はしないでくれ。」

『わかってる。今、話を聞いて思い当たる事があると気付いたんだ。』

時間遡行軍の中には、おそらく何部隊か存在していて。
その一部隊が一連の騒ぎの元だろう。
本当の目的は…

『ちっ。』

翡翠「月胡。素がでてる。」

『……。』

明石の言葉をかりれば、まさに“けったくそわるい”だ。
そこまで私にこだわるか?
私は…私の気持ちは、私のものだ。
もちろん、私のこの身体だって。

髭切「月胡、駄目だよ。」

髭切が執務室に来て、私に目隠しした。

髭切「はい、深呼吸。」

『…すぅ…はぁ…すぅ…はぁ…。』

髭切「心を乱しては、駄目だよ。大丈夫、僕たちが居る。」

『…もう、大丈夫。ありがとう、髭切。』

髭切「どういたしまして。」

私の不穏な気持ちを感じて来てくれたんだね。

御手杵「髭切?」

三日月「月胡と髭切・膝丸は縁が結ばれていてな。
月胡の感情を感知出来るのだ。」

あ、自分の事は言わないのね。

御手杵「なるほど…。」

翡翠「御手杵、話してくれてありがとう。
こちらでも精査する。
膝丸が帰還次第、話をしよう。
いいね?月胡。」

『はい。』

それまでに、私自身も整理しておかないと。
また、思い出したくない過去と御対面…か。
本当に、人の方がやっかいだ。
呪いだって、そう。

全てが自分の思う通りになんて、いかないのに。
人はなんて欲深いんだろうか。

まぁ、私も欲深い…か。

だけど、誰かを犠牲にしてまで手にしたいとは思えない。



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