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月の雫

第29章 見えてきた狙い


『みんなは、これ以上いいんだよ。
十分、やってくれてるんだから。』

三日月「月胡も、な。」

『宗近…。』

三日月「無理はするな。」

『うん。』

無理…か。
無茶はしないようするけど。

『書類が終わったから、本殿で鍛錬してくるね。』

三日月「あぁ。」

本殿に蝋燭を灯し、正座する。
精神を統一し、心を無にする。
…本当はピアスなんかに頼らずに、コントロール出来る様になりたい。
外して力を開放した後、使いものにならなくなるから…
ピアスには、あくまて溜めるだけで、解放しても保てるように。
体内に溜める?
チャクラみたいに、眉間や額の中心に…

『…っ、ダメだ。』

さすがに、そこまで行ったら神様だよね。

…神に。

今までは、大した問題だとは思ってなかった。
必要なら、そうなってもいい。
くらいの気持ち。

今は…

バチッ!!

『いたっ。』

気が乱れ、弾かれた。
指先に少し、血が滲んでいる。
…舐めておけば治るか。

石切丸「駄目だよ。」

『石切丸…いつから?』

石切丸「少し前からね。ちゃんと、手当てしないと。
私たちと違って、簡単には治らないのだから…。」

と、言いながら血が滲んだ指先を石切丸が咥えた。

『石切丸!?』

石切丸「消毒、だよ。さ、薬研の所へ行こう。」

びっくりした…
石切丸が来ていたのに気づかなかった事も、指先を咥えられた事も…

私…弱くなってる?
いや、そうでは無さそうだが…

あ。
みんなが強くなってるのか…
毎日、内番も任務も真面目にこなしてくれている。
それは、自分の為はもちろんだけど。

『強くなったのね、みんな。』

石切丸「月胡の為に、ね。」

やっぱり。

石切丸「君がくれる想いに応えたい。
そう思っているのは、膝丸だけではないんだよ。
みな、月胡だけに辛い思いはさせたくないからね。」

『その気持ちで、私はやっていける。』

石切丸「お互いに、ね。」

『うん。』

相思相愛。
私にだけではなく、刀剣同士も。
きっと、こんな本丸は他にない。
絆こそが我が本丸の最大の武器。



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