• テキストサイズ

月の雫

第28章 決意


執務室に着くと、翡翠も蜻蛉切と日本号も来ていた。

『朝早くに、申し訳ない。』

翡翠「…説明を。」

『つい先程、敷地の鬼門にこの槍が刺さっていました。
今は浄化してありますが、それまでは時間遡行軍の気配を纏い、半落ち状態でした。』

翡翠「逃げて来た…か。」

『おそらくは。』

翡翠「御手杵、だな。」

蜻蛉切「この槍身は、間違いなく。」

日本号「御手杵のものだ。」

やはり…

『翡翠…。
顕現して、ここの刀剣にしてもいいでしょうか?』

翡翠「…浄化したから問題は無さそうだが、なんせ初めてのケースだ。
刀剣も月胡も、油断するなよ。」

『はい。』

刀剣「はっ。」

よし。
まず、執務室内に結界を張る。
次に、みんなにも。
御手杵を囲んだ結界を解き、手入れをして…

『では、顕現します。』

御手杵を持ち上げようとしたが…
重くて上がらない。

蜻蛉切「私が持っていましょう。」

『ありがとう、蜻蛉切。』

うぅ…
情けないなぁ。

蜻蛉切に持ち上げてもらい、御手杵に触れて祈りを込める。

御手杵さま…
もう、大丈夫です。
目を覚ましてください…

桜が舞い散り、人が姿を現した。

御手杵「…すまない、助かった。」

翡翠「御手杵…
この本丸の事、知っていたのか?」

御手杵「あぁ。」

『翡翠、ちょっと待った。
まずは、どこか不調はないですか?
お腹、空いてませんか?』

御手杵「身体はなんともないな。
腹は…減ってるかも。」

『ではまず、食事にしましょう。
次にお風呂。
話はそれからでもいいでしょう?』

翡翠「.…そうだな、早まった。」

三日月「燭台切に頼んでくる。」

『うん。』

御手杵「あ、その前に。
月胡さん、俺をあんたの刀剣にしてくれないか?」

『…急がなくていいんですよ?』

私に助けられたからと言って、私に属さなくてもいい。
もっと楽に考えて欲しい。

御手杵「あんたに触れられて、決心した。
俺が仕えるのは、月胡さんがいい。」

『…わかりました。
では、手を出して下さい。』

差し出された御手杵さまの手をとり、祈りを込める。

『御手杵、貴方を私の刀剣とする。』

御手杵「謹んで。」

キンッ!!



/ 274ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp