第1章 ようこそ、主さま
こんのすけに示された場所に座り、2、3回深呼吸する。
あぁ…緊張するなぁ。
顔や態度に出さないようにしなければ。
こんのすけ「あるじさま、よろしいですか?」
ま、ポーカーフェイスは得意な方だ。
なるように、なれ。
『はい。』
こんのすけ「では…三日月さま。」
三日月「うむ。」
こんのすけの声に三日月宗近が応えると、御簾が静かに上がる。
拝殿には三日月宗近を先頭に、この本丸にいる刀剣男士が整然と座っていた。
三日月宗近
石切丸 小狐丸 山姥切国広
薬研藤四郎 乱藤四郎 厚藤四郎
五虎退 骨喰藤四郎 鯰尾藤四郎
にっかり青江 大倶利伽羅 燭台切光忠
加州清光 大和守安定 長曽祢虎徹
和泉守兼定 堀川国広 巴形薙刀
今剣 小夜左文字 蜻蛉切
太郎太刀 次郎太刀 へし切り長谷部
うっ…
当たり前だけど、全員の目が私に向いている。
あれ?でも…敵意とか負の感情は入ってない?
純粋な興味だけ?
こんのすけ「審神者様、こちらが当本丸に居る刀剣男士です。
皆様、こちらにおわす方がこの度審神者になられました月胡様です。」
三日月「我ら一同、誠心誠意お仕えいたします。」
三日月宗近の言葉を合図に、刀剣男士が一斉に頭を下げた。
『月胡と申します。よろしくお願い致します。』
三日月「俺は三日月宗近。他の者はおいおい、挨拶させよう。」
『わかりました。
私は執務室におります。
いついらしても構いません。出入りは自由といたしますので。』
こんのすけ「よろしいのですか?主様。」
『よいのですよ、こんのすけ。では、解散と致しましょう。』
いつまでも、この一段高い所から見下ろすのはあまりいい気分ではない。
私はみんなに頭を下げ、本殿を後にした。
こんのすけ「ずいぶんと簡単に済ませましたね。」
『…ダメだった?』
こんのすけ「いえっ!あるじさまらしいです。」
『私らしい?』
こんのすけ「見下ろすのがお嫌だったのでしょう?相変わらず、お優しい方です。こんのすけに初めてお会いした時も、優しくもふもふして下さいましたし。」
『そうだったね。』
あれはただ、こんのすけの可愛さに我慢が出来なかっただけなんだが。
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