第27章 特別な日
贈り物はもちろん嬉しいけど、私の好きなものがみんなから見た私のイメージだなんて。
『なんか、もう胸がいっぱいだよ…。』
村正「何を言ってるんデスカ?まだまだ、贈り物はありマスよ!」
次郎「宴もまだまだ!」
何度言っても、伝えきれない“ありがとう”をずっと心の中で言い続ける。
本当に、私はこの本丸の審神者になる為に生まれて来たんだ。
みんなに会う為に。
みんなの為に。
たくさんの贈り物と、みんなの笑顔に囲まれて。
今日は最高の誕生日となった。
それぞれが楽しむ姿を肴に、ゆるゆると呑む。
今日のお酒は、事の他美味しいなぁ。
伽羅「月胡。」
『なぁに?』
伽羅「これ。」
おー!
『ケーキ!!大きい!綺麗!美味しそう!!』
燭台切「伽羅ちゃんがデザインして、僕と歌仙が手伝って作ったんだよ。」
『食べたい!』
物吉「あ、待ってください!
ろうそく、灯しましょう。
ろうそくを消す時に、願い事をしながら消すと叶うそうですよ。」
鶯丸「さすか、幸運の象徴だね。
主。さぁ、願い事を。」
『願い事…。』
そんなのは、ただ一つ。
『みんながずっと、笑っていられますように。』
ふー。
吹き消すと、みんなが拍手してくれた。
伽羅がケーキを切り分けてくれて、光忠がコーヒーを淹れてきてくれた。
いちごがたっぷりで、程よい甘さで幸せな気持ちになれる味だな…
明石「あーあー、また泣いて…。」
『嬉し泣きは、いいの。』
後藤「ま、そうだけど。目が腫れちまう。」
青江「そんな姿も、かわいいけどね。」
『…なんでウチの子たちは、手放しで私を褒めてくれるのかねぇ、』
山姥切「主がそうだからだろ?」
だとしたら…
『持ち主に似ちゃったねぇ。』
膝丸「本望、だな。」
物吉「そうですね。」
『もう、徹底的に私の人生に巻き込んでやる。』
髭切「望むところだよ。」
長谷部「運命共同体、ですね。」
ステキ…
三日月「死なば諸共。」
『いや、絶対死なない。死なせない。』
鶴丸「そう言うと思ったぜ。」
わしゃわしゃと、鶴丸が頭を撫でる。
『…大好き。』
鶴丸「俺をか?」
『みんなを!』
鶴丸「だよなー。」
広間が笑いに包まれる。
なんだか、しっかりと他に足が着いたように感じる。
やっと、ちゃんと存在出来たと思えた。
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