第27章 特別な日
大典田「…良かったな、月胡。」
『…うん。』
大典田「あの月胡が、立派になったもんだ。」
ポンポンと、大きな手で撫でてくれた。
きっと、光兄さんはずっと心配だったのかな。
子供らしくない、どこかで生まれた事を後悔していた私の事を。
大丈夫だ、気にしていないと思っていても根っこで思っていたら腐るよね。
『もう、本当に大丈夫。
自分を否定しない。』
それは、ここに居るみんなの事も否定してしまう行為。
三日月「それでこそ、月胡だ。」
石切丸「今までで、一番の笑顔だね。」
岩融「もう少し呑むか?」
『いただきます。』
岩融に注いでもらい、一気にあおる。
石切丸「大丈夫かい?」
『うん。
体調はばっちりだから、これくらいは水と同じ!』
次郎「いいねぇ!
さ、じゃんじゃん空けちゃおう!」
太郎「かなわないんだから、やめておきなさい。」
次郎「いいの!今日は祝いなんだから、飲まずにいられるか!」
いや、次郎はいつでも飲んでるでしょうが。
陸奥「主ー。一服してもええがか?」
『どうぞー。』
飲んでると、欲しくなるよね。
んー…
『陸奥守、私に煙管の扱い方を教えてくれる?』
陸奥守「ええよ。隣にきんしゃい。」
陸奥守が自分の隣をぽんぽんと叩いた。
『お願いします。』
陸奥守「まずな、……。」
陸奥守が綺麗な指先でタバコの葉を丸め、煙管に詰める。
丁寧に教えてくれて,一度で理解できた。
『お互い、火の元には気をつけようね。』
陸奥守「そうじゃな!」
二人でゆっくりと、煙を燻らせる。
吸い込んだ時、頭がくらりとするのが心地良い。
三日月「俺にも一口、もらえるか?」
『どーぞ。宗近も吸えるんだ?』
三日月「嗜む程度にな。まぁ、月胡が吸うのなら一緒に楽しむのもいいな。」
と、私の手を取ってそのまま煙管を咥えた。
『自分で持ちなさいよ。』
三日月「月胡の手から吸うのがいいんだろ?」
髭切「そこー。二人の世界、作らないで。」
スパン!と、宗近と私の間に髭切が入り込むと、同じように私の手を掴んで煙管を咥えた。
『あ。』
陸奥守「三日月殿と間接ちゅー、じゃな?」
『ね。』
髭切「…気色悪い事、言わないでくれる?」
三日月「全くだ。」
だって、事実だし。
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