第26章 新たな仲間
ー月胡ー
だいぶ落ち着いてきた頃、ドアを亀甲がノックした。
…おそらく、みんなが心配しているのだろう。
『…どうぞ。』
亀甲「失礼するよ、主。」
『大丈夫なの?』
亀甲「かすり傷だけだったでしょう?
それは、主が治してくれた。
さ、お茶とお菓子をどうぞ。」
光忠と鶯丸か…
湯呑みを包み込んだ瞬間、尖っていた気持ちが一瞬で解けた。
二人の想いだけではなく、みんなの想いが伝わってきたから。
『心配させちゃったね。』
亀甲「それは、この本丸にいる我々の特権ですから。」
嬉しい事を…
『光兄さんから聞いた?』
亀甲「はい。
…主には、笑っていて欲しい。
でも、無理はしないで。
ぼくたちが、居るから。」
『…ただの八つ当たりだよね。
鶴丸に謝らないと…。』
亀甲「…ですってよ、鶴丸国永。」
『えっ?』
鶴丸「…邪魔するよ。」
気配を殺してきたな…
やれば出来るんじゃない。
いつも脅かす時は、わざとだったのね。
…そんな優しさにも気づけないなんて。
思わず、鶴丸を抱き締めてしまった。
鶴丸「主!?」
『ごめん、鶴丸。
ごめんね…。』
申し訳なさと不甲斐なさに、涙が溢れる。
鶴丸「…俺の台詞、とらないでくれないか?
すまなかったな、主。
辛い事を思い出させちまって。」
『…きちんと見れてなかった。
みんなの…鶴丸の優しさに甘えていた。』
鶴丸「それで、いいんだ。
主は…月胡はもっと、俺たちに甘えていいんだよ。
それくらいの度量は持ち合わせてるつもりだぜ?」
本当にそうだね。
鶴丸「もっともっと、月胡の本当の気持ちをぶつけてくれ。」
亀甲「ぼくたちは、大丈夫だから。」
『うん…。』
ありがとう、鶴丸。
ありがとう、亀甲。
…ありがとう、みんな。
髭切「それで…。」
膝丸「何さりげなく月胡の腰の辺りを撫で回しているんだ?鶴丸国永。」
鶴丸「げっ!!」
燭台切「鶴さん?」
伽羅「鶴丸…。」
鶴丸「ちょっと、待てっ!!
月胡から抱きついてきたんだぞ!」
宗近「やはり、今日は食事抜きだな。」
鶴丸「いや!ていうか、石切丸!
その、手に持っている木刀を離せっ!!」
石切丸「悪霊退散。煩悩抹殺。」
…なんだか、いつものオチになったな。
それでこそ、私の本丸だ!
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