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月の雫

第26章 新たな仲間


蜻蛉切たちが手際よく救出するのに必要な道具を揃え、すぐに亀甲を穴から出してくれた。
騒ぎを聞きつけて集まった他のメンバーが、手際よく穴を埋めたり片付けをしてくれて。

『…で、鶴丸よ。
言い分があるなら、聞いてやろう。』

鶴丸「いやぁ、新鮮な驚くに飢えていてね。」

『…なら、本当の飢えを教えてやろう。
今日一日、食事抜きだ。』

鶴丸「えっ!?あっ、主!?」

『…驚きや冗談で、怪我人が出たら洒落にならない。
今日一日は自室から出る事を禁じる。
光忠、監査を。』

燭台切「わかったよ。」

『亀甲、手入れは済んだけど念のために今日は休んで。』

亀甲「わかりました。」

『じゃ、解散。』

これ以上ここにいては、封印した感情が爆発しそう。
早々に執務室へ戻り、宗近に今日は誰も近づけないよう命じた。

気が尖っているのが、自分でも分かる。
それに呼応して、雷雨が降り出した。
本丸の天候は私の体調や機嫌に左右される事がある。
普段はセーブ出来ているが、今日はダメだ…
そばに誰か来たら、傷つけてしまいそう。

『…自室に居る。』

三日月「月胡…。」

『ごめん、今日は一人にして。』

大人気ないな…
これでは、八つ当たりだ。
でも、この感情はコントロール出来ない。
悔しさ、未熟さ、怒り。
全部が混ざり合ったこの、醜い感情。

『…抑え込んだと思っていたんだがなぁ。』

結界を張ろう。
これ以上、このオーラが漏れてしまわぬように。
宗近や髭切・膝丸に伝わらぬように。

殻に籠るように、膝を抱え込む。

思い出したくない事をしまい込むように。

あれは…
審神者になるための講習会での事だった。
常に首席だった私は、言われのない事を陰でコソコソと言われていた。
そんなのに構っている暇はない。
一日も早く、一人前になりたかったから。

…そんな私を気に入らなかった奴がいて。

遊び心で、制御ピアスを外されてしまった。
当然力が溢れてしまい、良くないものが集まってしまい…
後始末が大変だった。
まだ未熟な審神者候補ばかりだったため、何人かは呪いを受け…
再起不能になってしまった者もいた。
当然、いたずらした人間が悪いとの事で私にお咎めはなかったが…
無関係の人を巻き込んでしまった事は、私の心に根を張って絡みつく。
私が力を持ってしまったばかりに…。


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