第26章 新たな仲間
ー月胡ー
朝の日課をこなし、庭で散歩をしていたら光兄さんが庭木の手入れをしていた。
『おはよう、光兄さん。』
大典田「おはよう。
祈祷は済んだのか?」
『うん。
…もう、庭師しなくてもいいんだよ?』
大典田「これはもう、趣味だな。
勝手にやっているんだ、気にするな。」
『わかった。
必要なものがあったら、言って。』
趣味ならば、とめる理由はない。
本丸の仕事以外まで口出ししてしまったら、居心地悪くて仕方ないだろう。
みんなと同様、好きに過ごしてもらいたい。
大典田「そうだな…
花の苗が欲しい。月胡好きなガーベラの。」
『覚えていてくれたんだ!』
大典田「まぁ、な。」
少し照れ臭そうに言う光兄さん。
懐かしいな。
前の屋敷にいた時も、私に花を届けてくれてお礼を言うとこんな表情だった。
変わらない事に安心する。
そして、自分も変わっていない事に安心する。
『じゃ、何色か注文するね。
あの辺りを自由に使って。』
大典田「わかった。
道具の場所は前田に教えてもらったから、大丈夫だ。」
『前田に?』
大典田「あぁ。」
そうか…
前田も本丸に慣れたのかな。
『…前田の事、よろしくね?』
大典田「あぁ。」
口数はすくないけど、頼りになる。
光兄さんも、大丈夫そうだ。
安心して光兄さんと別れ、本丸へと戻ると…
亀甲「おや、主。
おはようございます。」
『おはよう、亀甲。
今日は畑当番だね。』
亀甲「はい。」
待てよ。
昨日の畑当番は鶴丸だったよな。
『亀甲、気をつけてね。』
亀甲「主…私の心配をしてくださるのですか!?」
『当たり前じゃない。』
亀甲「!!ありがとうございますぅぅ!!」
『Σ亀甲!!』
遅かった…
いや、気をつけてって言ったのに。
やはり、鶴丸。
タダでは畑仕事、しなかったんだ。
落とし穴が仕込んであるかもと思ったのだが、当たったようだ。
亀甲が落ちてしまった。
『亀甲!怪我はない?』
亀甲「なんとか…。」
『今、誰か呼んでくるから!!』
亀甲「はいー。」
大急ぎで本丸に戻り、広間へ向かう。
ちょうど良かった。
体格のいい蜻蛉切と長曽祢、太郎太刀が居た。
『亀甲が畑に作られた落とし穴に落ちたの!
助けるから手伝って!!
一期は薬研を、光忠は鶴丸を連れてきて!』
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