第25章 二人きりの時間ー膝丸ー
係員「おーつかれさまでしたー!」
観覧車が一周回り、地上へ戻ってきた。
…景色なんて、何一つ見ていない。
膝丸「…大丈夫か?」
若干、腰砕け状態。
『歩ける。
…さ、帰ろう。』
膝丸「あぁ。」
お土産、買った。
忘れ物、ない。
さ、切り替えて行こう。
膝丸「俺も免許、欲しいな。」
『お?翡翠に聞いてみようか。」
膝丸「そうだな。
月胡の運転もいいが、俺の隣に乗せたい。」
『…絶対、似合う。
膝丸が運転するの。』
膝丸「そうか?」
大き目の車、運転して欲しいなー。
器用だから、すぐに上達しそうだし。
翡翠「いいよ。
運転出来た方がなにかと便利だろうし。
手続きするから、他にも取りたいヤツが居たら言って。」
膝丸「かたじけない。」
『…翡翠。』
翡翠「なんだ?」
『感謝しています。
これからも、よろしくお願いします。』
髭切・膝丸の事。
今までの事。
ちゃんと礼を言った事がなかったから、良い機会だから伝えた。
翡翠「…俺だって、月胡が可愛くて仕方ないんだ。
のびのびと、月胡らしく居てくれ。」
『はい。
…じゃ、帰るねー。
あ、これあげるよー。』
ポイっとお土産を渡して、膝丸とさっさと撤収した。
さんざん、噛み付いてるから恥ずかしいじゃない?
翡翠「…ありがとな。」
小さく呟いたのが聞こえた。
『みんな、ただいまー!』
五虎退「おかえりなさい、主さま!」
『みんなを広間に集めてー。
おみやけ、配るぞー!』
五虎退「はいっ!」
広間でみんなにお土産を配り、私は自室へと戻り荷解きをする。
…なんだか、濃い旅だった。
場所もだけど、何より二人との縁が結ばれた時が解ったから。
三日月「おかえり、月胡。」
『ただいま、宗近。
留守をありがとう。』
三日月「あぁ。
…髭切・膝丸との縁が結ばれた時の事を思い出したそうだな。」
『…うん。』
三日月「良かったな。」
それは、本心からの温かな言葉だった。
一人だと思っていた時に、見ててくれた者がいて良かったと言う宗近の優しい本心。
『ありがとう…。』
宗近も安心したと伝えてくれている。
自分ではどうしようもなかった事を悔しく思いながらも、私の気持ちに寄り添ってくれて。
私、この本丸の審神者になれて、本当に良かったよ。
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