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月の雫

第25章 二人きりの時間ー膝丸ー


真っ直ぐに水槽を見つめる膝丸の横顔が…

『綺麗…。』

膝丸「そうだな。
光を受けた魚や水が美しいな。」

うっかり口に出てしまった言葉の本当の意味は、膝丸に上手いこと伝わらなかった。

どうしよう。
膝丸に甘えたくて仕方ない。

膝丸「…おいで。」

『あ…。』

そんな気持ちが伝わってしまったのか。
膝丸は、優しく腰を抱いてくれた。

膝丸「…月胡が一番、綺麗だ。」

…キュン。
本当に、胸が切なく痛む。
辛い痛みではなく、幸せすぎて。
この痛みなら、いくらでも味わいたい。

今日は昨日までと違い、口数が少ない。
それが苦痛ではなく、心地良い。
口にしなくても、共有できているんだとわかるから。

…一人だと思っていた。
仕事だから、役割だから私と関わってくれているだけだと。
でも、あの蔵の中でずっと気にかけて見守っていてくれる存在があったんだ。

膝丸「月胡…。」

『あ。』

感極まって、涙が。

膝丸「…全く。」

膝丸が片腕で私の頭を引き寄せた。

膝丸「泣き虫は治らないな…。」

『膝丸が居てくれるから…
私の泣き場所はずっと前から…膝丸と髭切の側だよ。』

膝丸「…そうだったな。」

大きな水槽の前で、落ち着くまでそうしていて…
それからは、何を語るわけでもなく。
ただ、手を繋いで歩いた。
日が傾いてきたので、最後に約束の観覧車へ。

『デートの定番なんだよ。
こうして、観覧車に乗って、てっぺんで口づけっていうの。』

膝丸「ならは、俺たちもそれにならわないとな。」

えっ。
緊張するじゃない。

膝丸「まぁ、頂上まで待つのもなんだから…。」

『んんっ!!』

強く引き寄せられ、口づけられた。
触れるだけかと思っていたら、唇を膝丸の舌先で刺激されて…

『あっ…んぁっ!!』

思わず声を出した所を逃さず、膝丸の舌が私の口内を乱していく。

膝丸「ふっ…。」

『んんっ…膝…丸っ。』

膝丸「月胡…好きだ……。」

身体も脳内も痺れる…
溺れそうな口づけに、膝丸の首にしがみつく。

許されるなら…
このまま、溺れていたい…



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