第25章 二人きりの時間ー膝丸ー
ホテルの部屋へ入った途端、また膝丸が抱きしめてきた。
『膝丸?どうしたの?』
膝丸「…何にも邪魔されず、月胡と二人きりなのがこんなに嬉しいとは思わなかった。
気づいているか?
月胡が俺達との縁を思い出してから、絆が強くなったのを。」
『そういえば…。』
今までより、膝丸の気持ちがストレートに伝わってきている。
…と、いうことは。
『私の気持ちも、かなり伝わっちゃった?』
膝丸「あぁ。
俺の事で照れたり喜んだりしているのが、伝わった。」
うわー…
“膝丸、かっこいい”とか“膝丸と一緒で嬉しい”とか思ってたのが、ダダ漏れですか。
『…穴があったら入りたい。』
膝丸「いや、俺も同じだったから。
なんのしがらみもない場所で、思い切り楽しんでいて…
俺の事でいっぱいの月胡が愛しくて仕方ない。」
そんな…
私が想っていた事を、膝丸も想っていたなんて。
苦しいくらい、幸せだ…
膝丸「このまま、俺のものにしてしまいたいくらいだ。」
『膝丸…。』
膝丸「大丈夫だ、わかっている。
今は、何も言わないでくれ。
今だけは…
ただ、俺の腕の中にいてくれ。」
『…ん。』
抱き上げられて、ベッドへと運ばれた。
そっと、私の服に手をかけて脱がせていく…
膝丸「…何もしない。
ただ、触れ合って眠りたい。」
下着だけの私と、上半身だけ脱いだ膝丸。
その熱い胸に抱かれ、静かに目を閉じた。
膝丸の心音が少し早い。
きっと、私のも。
膝丸「月胡。」
『ん?』
膝丸「俺はずっと、月胡を愛したかったんだ。」
ずっと?
膝丸「蔵で月胡が触れて、俺は目覚めた。
毎日顔を出して、話しかけてくれて。
ずっと、答えたかった。
…涙を拭いたかった。
それが今、叶っているんだ。
これ以上の幸せは、ない。」
『膝丸…。』
膝丸「だから、月胡。
必ず、幸せになってくれ。
幸せになるための選択を、誤るなよ。」
それは、例え自分は選ばれなくとも。
私の本心を偽らないでくれという、膝丸の優しさ。
『…わかった。』
約束するよ。
貴方の想いに、誠実に答えるから。
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