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月の雫

第25章 二人きりの時間ー膝丸ー


『…行っちゃったね。』

膝丸「あぁ。」

『最後、膝丸の名前をちゃんと言ってたよね!』

膝丸「あぁ…。」

『髭切、分かって…。』

そこまで言ったところで、膝丸に抱きしめられた。

『膝丸?』

膝丸「…今は、俺だけだ。
俺だけに…独占させてくれ。」

『…うん。』

そっと、膝丸の身体に腕を回す。
一瞬だけ、膝丸の腕に力がこもってすぐに緩む。

膝丸「さ、閉園時間まで楽しもう!」

『…うん!』

膝丸と手を繋ぎ、再びパークを楽しむ。
そう。
今、目の前にいるのは膝丸なんだ。
ちゃんと、彼だけを見ないと。

『これ、美味しい!』

膝丸「どれ…。」

私が持っているフードを、私の手ごと包み込むように掴んで、自分の口へと運んだ。

膝丸「本当だ、美味いな。
俺のも食べてみるか?」

『う、うん。』

膝丸「はい、あーん。」

『うぇっ!?』

いやいや、自分で食べられますけど!

膝丸「あーん。」

…これ、食べるまでやめてくれない?

えーい!!

ぱくん。

膝丸「な?」

『うん、美味しい。』

正直、味なんてわかりませんっ!
でも、満足気な膝丸の表情が嬉しい。

『もう一口!』

膝丸「どうぞ。」

こんなにリラックスしている膝丸を初めて見た。
楽しんでくれてる。
髭切ありきで選んだんだ場所だけど、膝丸も喜んでくれて良かった。

『そろそろ閉園時間だから、ホテルに戻ろう。』

膝丸「あぁ。」

ゲートへと歩き出そうとした時、繋いでいた手をぐっと引き寄せられて…

ちゅっ。

膝丸が口づけた。

『/////』

膝丸「さっ、行こうか。」

さらーっとやったよ、この人っ!

…でも、こういうのに少し憧れてた。
ドラマや本の中でしか見たことのない、少しだけ羨ましく思っていた光景が今自分に。

『魔法みたい。』

膝丸「ここは、魔法の国なんだろ?
解けるまで、楽しもう。」

『そうだね。』

膝丸の腕に抱きついて、はしゃぎながらキラキラしたパークを後にする。
明日は本丸へ帰る日。
少しドライブをして帰ろう。
あ…

『ねえ、膝丸。
明日、近くにある水族館へ寄ってから帰らない?
私、膝丸と休暇で行くなら水族館がらいいなって思ってたの。』

膝丸「いいな、寄って行こう。」



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