第24章 二人きりの時間ー髭切ー
膝丸「羨ましいか?兄者。」
髭切「…膝丸のくせに、生意気。」
『あっ!今っ!!』
膝丸「兄者…俺の名を……。」
髭切「…ふん。」
あ。
こちらも、照れている。
髭切「いいから、離れて。」
膝丸と引き離され、髭切が抱き上げる。
膝丸「兄者!」
髭切「お腹空いちゃった。
ルームサービス、頼もうよ。」
『そうだね!そろそろ、花火の時間だし。
…三人で、見よう。』
髭切に抱き上げられたまま、膝丸に手を伸ばすと直ぐに繋がれた。
膝丸「そうだな。」
髭切「仕方ないね。」
なんて言いながら、ちゃんと膝丸を呼ぶんだから。
二人の絆は、素敵だな。
本当は、私が思い出した事を一緒に喜びたかったんでしょ?
…に、しても。
膝丸の現代服…似合いすぎる。
いや、本丸での服装も現代服に近いからスタイル良いのは分かってたけど!
シンプルな黒を基調とした服装は、ものすんごく似合ってる。
かっこいい…
髭切「月胡、弟を見過ぎ。」
『あ…。』
バレた。
膝丸「どこか、おかしいか?」
『まさか!とても似合ってる!!』
膝丸「…そうか。」
繋いでない方の手で頬に触れ、微笑みかけてくれた。
だから…顔面偏差値っ!!
髭切「月胡、僕は?」
『…言わせるの?』
髭切「言って欲しい。」
『…素敵すぎ。』
髭切「…ありがとう。」
言わせておいて、照れてる。
『何を頼もうか?』
それからは、三人で花火を見ながら思い出話をした。
本当に、私の事を見ていてくれたんだな。
私が覚えていない事も、知っている。
髭切「あの頃から、負けず嫌いだったよね。」
膝丸「そうそう、翡翠殿にやられて泣きに来ていたもんなぁ。」
『…それは、忘れて欲しい。』
髭切「泣き顔もかわいかったよ?」
膝丸「笑顔の方が、いいけどな。」
『もー!!』
あの頃に結ばれた縁。
昔の私を知っていてくれている、安心感。
だから、この二人の側は温かくて心地良かったんだね。
『でも、良く黙っていられたね。』
髭切「月胡との縁が切れてしまうと言われたら…ね。」
膝丸「そちらの方が、ずっと辛い。」
そうなんだね…
本当に、私を選んでくれたんだ。
『ありがとう。』
その日は三人で一緒に眠りについた。
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