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月の雫

第24章 二人きりの時間ー髭切ー


パークで髭切の神気に包まれて感じた懐かしさは、これだったのか…

『なんで、言ってくれなかったの?』

髭切「月胡が自分で思い出してくれないと、縁が切れてしまうんだ。
…ありがとう、思い出してくれて。」

言いたくても、言えなかったんだ…

『政府の指定だったのは…偶然じゃなかったんだ。』

髭切「言ったでしょ?
僕達は君を選んだんだって。」

ー必然ーなんだよ?

その言葉は、肌から直接伝わった。
泣いてしまった私を髭切が抱きしめてくれたから。

ずっと、一緒に居てくれたんだ…
私を選んでくれたんだ…

『ありが…。』

髭切「ストップ。
それは、もう一人が来てからにして?」

『えっ?』

♫〜

ドアチャイムが鳴った。
ルームサービスはまだ、頼んでなかったけど…

髭切「ちょっと、待っててね。」

髭切は私を椅子に座らせると、ドアの方へ行き開く。

翡翠「はい、お連れしたよ。」

髭切「ありがとう、翡翠殿。」

膝丸「月胡。」

『膝丸っ!!』

姿を見た瞬間、膝丸へと走り出して抱きついた。

膝丸「…思い出してくれたのだな。」

『うん…。』

髭切「月胡が思い出す時は、共に居たいと思ってね。
翡翠殿に頼んでおいた。」

翡翠「月胡が自然に思い出したら、って条件だったけどな。」

『翡翠は…知っていたの?』

膝丸「最初に顕現するように、政府のお偉方を誘導したのは彼だ。」

…知らなかった。
知らない所で、こんなにも護られて想われていたなんて。

『だったら…初めから膝丸も一緒だったら良かったのに。』

髭切「それは兄の権限でね。
月胡を少し、独占させてもらったのさ。」

もう…そういう所は、抜かりないんだから。

翡翠「じゃ、ここからは三人でな。
膝丸には許可証を渡してあるから。」

『翡翠!』

翡翠「ん?」

『…ありがとう、本当に。』

貴方も、ずっと私のそばに居て守ってくれたのね。

翡翠「…いーえ!
じゃ、楽しんで来いよー。」

あっさりと帰ってしまった。

髭切「あれは、かなり照れているね。」

膝丸「そうだな。月胡が素直だっから、驚いたんだろう。」

『そういうもの?』

髭切「そうだよ。
…それより、いつまで抱き合っているんだい?」

『あ。』




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