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月の雫

第23章 いろんな選択


…久しぶりに本なんて読んだから、すっかり乙女モード入ってしまったわ。

『乙女、ねぇ。』

笑ってしまうな。
私は乙女なんて柄じゃない。

さて、マカロン食べよ。
コーヒー、淹れるかぁ。

手動のミルで豆を挽き、カップや器具を温めて、お湯を適温にして淹れる。
おー、豆が膨らんだ。
いい香り…癒しだなぁ。

千子「いい香りがしマスねぇ。」

『村正。珍しいね、訪ねてくるなんて。』

千子「主と話たくなったのでね。よろしいデスか?」

『どうぞ。コーヒー、飲める?』

千子「えぇ。」

村正、礼儀正しいんだよね。
…素行は思う所があるけど。

『どうぞ。』

千子「いただきマス。」

所作も綺麗。
…ちょっと、オネエ入ってるけど。
(小指が立ってる)

『ここには慣れた?』

千子「はい!みなさん優しいですし、雰囲気がいいデスねぇ。」

『良かった。ホント、優しいよね。』

千子「貴女もデスよ?」

『そうかな?』

千子「そうデス。」

言い切ってくれた。
普段は脱ぐ脱がせるでふざけてる姿ばかり見ているけれど、なかなかの曲者なんじゃないかな。
なんだかんだで、物吉も離れないし。
本当に嫌なら、近寄らないよね。

千子「主は…。」

『なぁに?』

千子「私が怖くないのデスか?」

『…どうして?』

千子「私は妖刀とよばれていマス。
気味が悪いと言われたり、時には重宝されたり。
扱いに困る人々を見てきまシタ。」

…確かに、千子村正は妖刀だと言われている。
持ち主を狂わせ、不幸にする。

千子「前の持ち主も、そう言ってマシタ。」

ー!!
頭に血が昇る。
そんな事を…
自分の都合で顕現しておいて、何を……

千子「主?」

『…刀は持ち主次第で良くも悪くもなる。
全ては人次第だと思う。
…私は、人にそんな想いをさせられても…私の元へ来てくれた村正を大切にする。
怖くなんて、ない。』

村正を真っ直ぐに見て、想いを伝える。

『ありがとう、村正。
私の刀剣になってくれて。』

千子「…主。」

『なに?』

千子「…抱きしめても?」

『…どうぞ。』

自分で言ったのに、おそるおそる手を伸ばす村正に自分から抱きついてやった。



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