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月の雫

第23章 いろんな選択


食事は軽いものでいいか。
パンをフライパンで焼き、サラダに目玉焼き。
コーヒーは執務室で淹れよう。

静か…
宗近も気を遣って来ないみたいだし、髭切はまだ寝てるかな。
膝丸は身の回りの事をやってそう。

本丸って…こんなに静かな時もあるんだね。

そうだ。
ネットショップみたり、本読んだりしよう。

読みかけていた本を読んでいたら、主人公の男性が想いを寄せる女性への気持ちが綴られていて。
痛いくらいに切なくて、純粋な想いに刀剣達を重ねてしまった。

なにが、とか、どこが、じゃなくて。
その人だから、好きなんだ。
全てをかけて、護りたいんだ。

そんな人に巡り会ってしまったら…
もう、止める事など出来ない。

それは幸せであり、不幸かもしれない。

胸が痛む。
不幸だなんて、思いたくない。
思わせたくない。
思われたく…ない。

出会わなければ…
こんな気持ち、分からなかった。

でも、出会ってしまった。
運命なのか、必然なのか。

小夜「主、戻った…どうしたの?」

『えっ?』

今剣「泣いてますよ!」

あ…
本当だ…
なんで?

太鼓鐘「主…。」

太鼓鐘がギュッと抱きしめてくれた。

五虎退「あ、僕も。」

そこからは、テンプレで。
全員でもみくちゃに。

それが落ち着くと、みんなが万屋で買って来たものを見せながらお土産話しをしてくれた。
目を輝かせて話してくれる短刀達が愛しい。

話し終えて満足したのか短刀達は執務室から出ていき、一期が残っていた。

一期「これ、お土産です。」

『ありがとう。わぁ、マカロンだ。』

好きなんだよなぁ。
色と形に癒される。

一期「それで、何故泣いていたのですか?」

あ、それ聞いちゃうんだ。

『本を読んでいてね…なんか、シンクロしちゃったの。』

一期「そうでしたか…。」

『いきなり泣いてたから、びっくりしたよね。』

一期「いえ、そうではなくて。」

『ん?』

一期「何であろうと、主の涙の原因が許せなくて。
それに、お一人で泣かせたくない。」

『一期…。』

一期「ここには我等がおります。
どうか、一人で泣かないでください。」

『…ありがとう。』

一期「では、失礼します。
残りの休みを、ゆっくりお過ごし下さいね。」

『ありがとう。』



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