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月の雫

第23章 いろんな選択


明石「そうでっかー?」

…まぁ、そんな風に見せてるだけで、冷静に周りを見てるんだけどね。

『温かいねぇ。』

明石「ですなぁ。」

明石の髪をなでながら、しばし縁側で過ごして次の場所へ。
部屋で過ごしている人の邪魔はしないようにして…
あ。
鍛冶師さん達の所へ行こう。
執務室に寄ってお菓子を持ち、鍛刀部屋へ。

『失礼します。』

私に気づくと、みんなが集まって来てペコリと頭を下げた。

『これ、差し入れです。』

金平糖の入った包みを渡すと、ピョンピョン跳んで喜んでくれた。

『これからも、よろしくお願いしますね。』

“はいっ!”と言うかなように、手を挙げて答えてくれた。
彼らもまた、頼りになる仲間だ。

青江「おや、主。」

『青江。』

青江「君も来ていたんだね。」

『うん、お礼にね。』

青江「僕もだよ。
はい、僕からはチョコ。」

喜んで食べ始めた鍛冶師さん達を、小上がりに座って青江と眺めていた。

『良く来るの?』

青江「あぁ。
僕の好きな金の玉を作ってくれるからね。」

あー、お好きですよねぇ。

青江「主の事も、好きだよ。」

そんな、サラッと…
でも、瞳には熱がこもってる。

『…ありがとう。』

青江「…自分も、とは言ってくれないんだね。」

…痛いところを。
軽い好きならば、言える。
短刀たちがじゃれながら言ってくれる好き、にならば。

青江「おっと。困らせたかったわけじゃないよ。
本当の好きは、軽く言わない。
…君らしい。そして、そこがさらに好ましい。」

『青江…。』

青江「無責任に言葉を紡ぎ、責任を持たないより、ずっといい。」

…青江の言葉に、救われた気がする。

『ありがとう、青江。』

青江「どういたしまして。
それじゃぁ、僕は部屋に戻るとするよ。
金の玉を磨かないとね…。」

そうか、磨くのか。

『頑張ってね。』

青江「主も、ね。」

私も、か。
じゃ、頑張らせていただこうかな!

次はどこへ行こうかな…

それにしても、短刀達が居ないと静かだなぁ。
大人刀剣は、何をしてるのやら。

厨に行って食事を持って、部屋に戻ろう。
あまり、私がフラフラしていたら休まらないよね。



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