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月の雫

第3章 賑やかな日々


「月胡、入るぞ。」

『どうぞ。』

月胡は机で端末を開いていた。

「先程の報告か?」

『そう。
やってやったぞってね。』

昨日から態度が少し緩んできたな。
無理をして作っていたのか。
今の方が年相応で、月胡らしく感じる。

「よくやったな、月胡。」

そばに行き、頭を撫でてやる。
すると、驚いた顔で俺を見上げた。

「ん?どうかしたか?」

『宗近が褒めてくれて、びっくりした…
鍛刀部屋で少し、様子が違ったように感じたから…』

気付かれていたのか…
隠していたつもりだが、月胡には隠しきれぬようだ。

「本当に顕現したから、驚いただけだ。」

『そうだったのか。
宗近を驚かせたんだ、私。』

悪戯っぽく微笑む月胡…

(あぁ…愛しいな。)

刀の頃から多くの主と出会って来たが、こんな感情にされたのは初めてだ。
もっと見ていたい。
いろんな月胡を知りたい。

『よし、送信完了。』

こんのすけ「あるじさま!」

『こんのすけ、こんにちは。』

こんのすけ「はいっ!
それより、あるじさま!!
すごいです!流石ですね!!」

『出来て良かった。
これで、みんなの顕現して欲しい方をお呼びできるね。』

…そうだったのか。
何かを考えているとは思っていたが、そんな事を…

こんのすけ「これからは、あるじさまのペースで鍛刀なさってください。
今回のことで、政府のお偉方を黙らせる事が出来ましたから。」

「どういう事だ?こんのすけ。」

こんのすけ「?あるじさま、お話になってなかったのですか?」

『うん。
実はね、私の事をよく思ってないお偉いさんが居てね。
ちょいちょい試されるような事があったの。』

こんのすけ「そりゃ、あるじさまが煽るような事をするから…」

『こんのすけっ!』

「おやおや、どんな事をしたんだ?」

『宗近まで!
権力だけで威張ってるから、面白くなかったの!』

だから、見せつけてやったという所か。
本当に、月胡は面白い。

『宗近、この事は二人の秘密ね。
主がやんちゃだなんて、示しがつかないよ。』

「あい、わかった。」

ー二人の秘密ー

その甘美な言葉が、俺の独占欲を少し満たしてくれた。


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