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月の雫

第23章 いろんな選択


青かった空から、茜色に染まり始めた。
そろそろ夕飯の時間だから、戻ろう。

少し下ると…

『膝丸…。』

膝丸が木に寄りかかっていた。

膝丸「…戻るのか?」

『うん…もしかして…。』

ずっと、ここに居たの?

膝丸「暗くなってきた。足元に気をつけるんだぞ。」

『…じゃ、手を繋いで?』

膝丸「喜んで。」

本丸から出て行くのが見えて、様子がおかしかったから着いてきてくれたの?
うわ…気づかなかった。
余裕なさすぎでしょ、私。

恥ずかしいのに、嬉しい。

膝丸「どうかしたか?」

『ううん!…なんでもない。』

薄暗くて良かった。
顔、赤くなってるだろうから。

『膝丸…。』

膝丸「なんだ?」

『…なんでもない。』

膝丸「ふっ…そうか。」

膝丸の想いがなんだか、くすぐったい。

『お夕飯、何かなー。』

膝丸「とんかつ、らしいぞ。」

『お肉っ!』

膝丸「急に元気だな。
たくさん、食べるんだぞ。」

『うん!』

…って、子供じゃないんだから。
こんな風に、手放しで甘えさせてもらった事がないからなぁ。
ついつい、童心に帰ってしまう。

あ、その前に。
山姥切に羽織を返さないと。

『膝丸、ありがとう。
私は山姥切の所へ、羽織を返しに行ってくる。』

膝丸「あぁ。」

繋いだ手が離れる。
…少しだけ寂しいと思ったのは、内緒。

山姥切に羽織を返し、夕食を摂り、自室へと戻る。

また、休暇をもらおうかな。
私のいた時代での。

誰と何処に行こうかな…

まぁ、まだ預かり状態の刀剣達の行先が決まってからだけど。
少し、他の本丸の事を調べておくか。
翡翠から上がってきたデータから、気になる人をピックアップしてさらに過去のSNSなども探って調べる。
審神者になる前の行動から見えて来るものもあるだろう。
慎重に、調べ上げないと。

コンコンコン

三日月「月胡、そろそろ休め。」

あ…
仕事してるのが、バレた。

三日月「自分を追い込むな。
相手あっての事だろう?」

『うん…。』

三日月「…大丈夫だ、なるようになるさ。」

『…そうだね。』

なるようになる、か。
じゃ、流れに身を任せて見ますか。
とれあえず、お布団に。

おやすみなさい。


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